投資をして得た利益は、確定申告をして所得税を納税するのが一般的です。
FXも例外ではありません。
確定申告の際には、
所得の種類によって分離課税か総合課税のどちらかが適用されます。
FXの利益は、どちらで申告することになるのでしょうか。
この記事では、
確定申告時の注意点、海外FX会社と国内FX会社との違いも含め解説します。
確定申告とは?
確定申告とは、
一年間の収入と費用を累計して所得を算出し、
所得の金額に対して一定の計算式で所得税を計算し、納税する手続きです。
日本では、
確定申告をして所得税を納めることは、所得を得たものにとって義務となります。
サラリーマンの方は、
会社が年末調整をしてくれるので、自分で確定申告をしない方も多いです。
しかし、サラリーマンでも申告する内容によっては
確定申告をした方が税負担面でメリットがあるケースも多いですし、
給与所得以外の収入があった場合は、
確定申告をしないといけないケースもあります。
FXで得られた利益は、金額によっては確定申告の対象となります。
FXを実施する際には確定申告のことも理解しておきましょう。
FXの利益は「雑所得」に分類される
確定申告をする際には、所得の種類を明確にして、
分類ごとの金額を算出していくなどの計算をする必要があります。
所得の種類には、「給与所得」や「不動産所得」、「譲渡所得」など様々ありますが、
FXの利益は、「雑所得」という分類になります。
雑所得は、年金収入や、臨時の原稿収入など、
他の分類に適合しない種類の所得が含まれる事項になります。
確定申告書を作成する際には、所得の分類がきちんとなされていて、
適切な項目欄に金額を記載していく必要があります。
FXの利益は雑所得に分類されるので、間違えないようにしましょう。
分離課税と総合課税の違い
確定申告をして税金の計算を行う際に考慮しなければならないことはたくさんあります。
その中でも注意を要するのが、所得の種類によって課税方式が異なる点にあります。
課税方式は、日本の税制においては大きく分けて2種類に大別されます。
すなわち、
『分離課税』と『総合課税』
です。
FXで得た所得がどちらに分類されるのかは、
実はFX会社の選択によって異なってくるので注意する必要があります。
確定申告に慣れていない方にとっては、
難しい面も多いですが、
FXを行なって利益を獲得する中ではぜひ知っておきたい事項になるので、
よく理解をして間違いのないようしましょう。
分離課税とは
分離課税とは、一年間で獲得した所得を合算することなく、個別で集計するタイプの税金計算方式のことです。
分離課税とは?
一年間で獲得した所得を合算せず
個別で集計する税金計算方式のこと
例えば、給与所得が500万円、分離課税対象の雑所得が30万円とした場合、
合算して530万円に対して税額を計算するのではなく、
500万円で一つのくくり、
30万円で一つのくくりとして、
それぞれの税率や計算方式に基づいて税額を算出することになります。
分離課税は個別に税額を計算する方式で、
個別に税額を計算することになるので
確定申告の際に合算しないように気を付ける必要があります。
総合課税とは
総合課税とは、一年間で獲得した所得を合算して合計金額を算出し、
それに対して一定の税率を乗じて税額を算出する方式のことを指します。
総合課税とは?
一年間で獲得した所得を合算し、
その合計金額に対して一定の税率を乗じて税額を算出する方式のこと
※給与所得、不動産所得、譲渡所得などが該当
例えば、給与所得が500万円、不動産所得が100万円の所得があった年度の場合は、
合計600万円に対して税額を算出するという手順になります。
総合課税の場合は、
所得額が増えれば増えるほど税額を算出する際の税率が増加していく方式
(「累進課税」という)をとっているため、
所得の金額が大きいケースの場合は所得税の負担が大きくなってしまうことがあります。
FXで得た利益の課税方式とは
分離課税と総合課税の違いについて紹介をしましたが、FXを利用して獲得した利益に関しては、どちらの方式が採用されているのでしょうか。
これは、実は同じFXでも、利用する会社の形態によって異なってきます。
FXで得られた利益は、雑所得に分類されますが、
雑所得の中でもその内容によって分離課税とするか総合課税とするか、
区別して考える必要があります。
同じFXによる利益、同じ雑所得に分類される所得といえども、
区別して考える必要があるので、慣れるまでは複雑だと感じる方も多いかもしれません。
自分が利用するFX会社がどちらに分類されるのか、
しっかりと理解をしておく必要があります。
以下、同じFXによる利益の中で、
総合課税と分離課税に区分されるポイントを解説します。
海外FX会社の場合は「総合課税」
FXでの利益が『総合課税』の扱いで申告する必要のあるケースは、FX会社が海外の企業の場合です。
日本にいながら、
海外のFX会社で口座を開設して
FXトレードをすることが簡単にできる時代になっており、
実際に多くのトレーダーが海外FX会社を利用してトレードを実践しています。
確定申告において、
総合課税か分離課税か判断する基準として、
日本の国税庁が定める「先物取引にかかる雑所得などの課税の特例」に当てはまるかどうかがキーとなります。
FXトレードの取引は、
先物取引の性質を持っているため分離課税に当てはまりそうですが、
日本の国税庁が認めているかどうかも判定の大きなポイントになります。
海外FX会社は、日本の国税庁が正式に認可をしていないので、
国税庁が定める「先物取引にかかる雑所得などの課税の特例」に当てはまらないと判断されます。
このため、海外FX会社を利用して得られた利益に対しては、総合課税で確定申告をしないといけないということになります。
国内FX会社の場合は「分離課税」
逆に、国内FX会社を利用して獲得した利益に対しては、分離課税によって確定申告をする必要があります。
前述の、
国税庁が定める「先物取引にかかる雑所得などの課税の特例」に日本のFX会社が提供するFXトレードサービスはしっかりとあてはまるためです。
先物取引とは、将来の値動きを予想して、
あらかじめ決済の価値を決めて取引をするタイプのデリバティブ取引です。
FXを利用したトレードは、先物取引の代表例とも言えます。
国内FX会社を利用して得られた利益は、他の所得と合算して申告することはできないので注意が必要です。
ただ、複数の国内FX会社を利用しているケースの場合は、それぞれの利益及び損失を通算することが可能です。
例)
国内FX会社のA社で20万円の利益、
国内FX会社のB社で10万円の損失、を出した場合・・・
確定申告において
お互いの損益を通算し、
(20万-10万)
=10万円の利益として申告が可能。
国内FX会社を利用して得た利益は分離課税で確定申告しないといけないことを理解しておきましょう。
国内会社と比較した海外FX会社の税制上のデメリット
国内FX会社で得られる分離課税適用に比べ、海外FX会社が適用される総合課税ではどのような違いがあるのでしょうか。
比較したうえで、お互いにメリットとデメリットがあります。
確定申告の形式をベースに利用するFX会社を決める必要はありませんが、FX会社を選択することで、どちらの形式で確定申告をすることになるのか、きちんと理解をしておくことは大事なことです。
まず、海外FX会社を選択した時のデメリットから解説します。
損失の繰越控除ができない
FXトレードをした際に、年間の累計で損失となった場合、国内のFX会社を利用した場合は被った損失を翌年以降に繰り越しをすることができます。
しかし、海外FX会社の場合は損失の繰越を行なうことができません。
例えば、ある年度の累計の結果が10万円のマイナスとなってしまい、その翌年の累計結果が30万円のプラスだったとします。
初年度のマイナスの金額を確定申告で損失の繰越の申請をすることで、
翌年の利益金額から控除することができるため、
翌年度の利益:(30万円-10万円)=20万円となります。
=20万円に対して税率が乗じられ、所得税が計算される
国内FX会社だと損失が繰越できるので翌年の税負担が少なくなります。
初年度のマイナス損失はそのままで確定申告をすることができないため、
翌年度の利益:30万円(満額)となります。
=30万円に対して税率が乗じられ、所得税が計算される
一方、海外FX会社は損失繰越できないため翌年の税負担は通常通りです。
国内会社と比較した海外FX会社の税制上のメリット
海外FX会社を利用した際のデメリットを紹介しましたが、
海外FX会社を利用した方が税負担上有利になるケースもあります。
どちらのFX会社を選択した方が良いかは、
他の所得や好みによって異なってきます。
十分に比較をして、自分に合ったFX会社を選択するようにしましょう。
複数のFX会社を利用してFXトレードをすることももちろん可能なので、
総合的に最も有利になるトレードの手法を見つけましょう。
所得が低い場合は税率が低くて済む
FXで獲得した利益も含め、
所得金額が低い場合は、分離課税よりも総合課税の方が所得税を算出する税率が低く済む点は大きなメリットです。
年間で所得が330万円以下の場合、
所得税を算出する税率は10%となり、
さらに一定の所得控除を受けることができます。
年間所得が695万円以下の場合は、
20%の税率を乗じて所得税を算出することになります。
一定の所得控除も受けることができます。
一方、分離課税の場合は、一律20%という設定になっているので、
全体の所得合計が695万円以下の場合は、
総合課税の方が税負担上有利ということになります。
ボーナスは課税対象外
XM Tradingを始めとした海外FX会社では、ボーナスという制度があります。
証拠金として自己資金をトレード用の口座に入金した際に、
一定のルールでボーナスと呼ばれる資金を受け取ることができ、
トレードの際の証拠金として活用することが可能です。
ボーナスは、現金として出金することができず、
あくまで証拠金としての活用しかすることはできません。
そのため、日本の税制上では所得に含めないことと規定されています。
XM Tradingのような高いレバレッジを生かしたトレードをする際には、
このボーナスは非常に有効に活用することができます。
税制上の負担も負う必要がないので、
積極的なレバレッジ活用のトレードをする方には大変メリットのある制度です。
FX利益が20万円を超えたら確定申告必須
FXトレードを行ない、利益を獲得したからといって、
必ず確定申告をしなければならないというわけではありません。
少額の利益の場合は、確定申告をする必要がないと規定されています。
別の本業がある方(サラリーマンなど)の場合・・・
FXトレードで20万円以上の利益を獲得したら、
自身で確定申告をして正しい納税をする必要が生じます。
他の所得獲得手段がない方(専業主婦など)の場合・・・
48万円以上の利益収入を超えると
確定申告をしなければならなくなる可能性が生じます。
他の所得獲得手段がない方の場合は、
控除の条件などが人によって異なるため、
確定申告の要否については税務署などに確認をすることをおすすめします。
確定申告しなかったらどうなるか
確定申告をすることで、所得税の負担が増えてしまう結果となります。
FXトレーダー初心者の中には、わざわざ確定申告をしなくてもばれないのではないかと考える方も少なくありません。
特に海外FX会社を利用して獲得した利益は、日本の当局にばれるケースは少ないのではないかと考える方も少なくありません。
しかしこれは誤った考え方です。
発覚した時の罰則はとても重く、
追徴課税など通常税負担よりもはるかに高い負担を強いられることになります。
また、脱税をしているという罪悪感を抱えながらのFXトレードは精神衛生上好ましくありません。
まとめ
ここまで海外FXの分離課税と総合課税について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- FX利益は確定申告で「雑所得」
- 分離課税と総合課税の違い
- 国内FX=分離・海外FX=総合
- 20万円以上のFX利益は確定申告必須
- キャッシュバックは専用の業者サイト利用を
- ボーナス利用トレードで損失が出たら節税として申告可
税制上、海外FX会社、国内FX会社それぞれのメリットとデメリットがあります。しかし、税負担を気にしすぎて自分が行いたいトレードができないというのは本末転倒です。自分が展開したいトレードができるFX会社を選択して、気持ちよくトレードをすることの方が大事です。レバレッジを生かしたトレードがしないなら、迷わず海外FX会社を選択して、ボーナスの活用も含めた効率の良いトレードを展開しましょう。