FXの運用方法は、通貨ペアの間で動く為替相場を予想して売買をする方法が一般的ですが、FXのもう一つのおすすめの運用方法として、スワップポイントを狙う手法もあります。
この記事では、初心者でもわかりやすく安心して運用できるスワップポイントについて、ポイントが高く設定されている通貨ペアの紹介も含めて解説をします。
スワップポイントとは?
そもそも『スワップポイント』とはどんなものでしょうか。
FX特有の制度で、感覚的には銀行預金の利息に近いと考えている方も多いかもしれません。
しかしポイントが付与される仕組みなどは銀行預金の利息とは異なります。
いずれにしても、スワップポイントを利用した投資を展開する際には、長期投資が基本のスタンスとなります。
FXの醍醐味である為替相場の変動を予測したトレードとはかなり趣向が異なりますので、人によっては合わないと感じる方も多いかもしれません。
好みに合わせて利用するかどうかを判断することが肝要です。
異なる通貨の金利差によって生じるポイント
スワップポイントとは、異なる通貨の金利差によって生じるポイントのことです。
ポジションを保持していると日を跨いだ時に通貨ペアの金利差を利益としてもらえるシステムであり、決済せずともポジションを保持しているだけで利益がもらえます。
スワップポイントとは?
異なる通貨の金利差によって生じるポイントのこと
国際通貨はそれぞれ国家の経済事情などによって金利が異なりますので、
多かれ少なかれスワップポイントは発生します。
金利の高い通貨:買う
金利の低い通貨:売る
→プラスのポイント付与
金利の高い通貨:売る
金利の低い通貨:買う
→マイナスのポイント付与
例えば、
日本円とアメリカドルの金利の場合・・・
2021年2月現在、アメリカドルの方が高い
→USD/JPYの買いポジションを保有していると
プラスのスワップポイント付与される
スワップポイントは、一定の間隔で付与されていきます。
一日一回付与される設定をしているFX会社が多く、ポイントは蓄積されていきます。
したがって、プラスのスワップポイントが付与される通貨ペアのポジションを持ち続ければ、自然にスワップポイントがプラスに積み重なっていくことになります。
金利が高い通貨を買うポジションを持つ
スワップポイントの運用を行なう際には、
金利が高い通貨を活用すると効率よくポイントを稼ぐことができます。
金利は変動するために常に当てはまるとは言えませんが、
一般的にはいわゆるマイナーな通貨の方が金利が高い傾向にあります。
(日本円に比べれば金利は若干高いものの)
相当低い金利設定のため、
スワップポイントはあまり付与されません。
かなり高い金利設定のことが多いため、
スワップポイント運用向きの通貨といえます。
スワップポイントは逆の売買をするとマイナスで貯蓄されていくので、売買ポジションの方向を間違えないように注意する必要があります。
トルコリラ/JPYの通貨ペアなら、必ず買いポジションを持つようにしましょう。
スワップポイント運用のメリット
スワップポイントを活用して資産運用をするメリットはどんなことがあげられるでしょうか。
基本的に、FX取引は為替相場の変動を予想して為替差益を狙いに行く手法がメインの投資ツールです。
スワップポイントを活用する運用は、メインの手法とは一線を画す方法なので、同じFX取引でも随分趣向が異なります。
基本的には長期でポジションを持ちポイントをためていく運用方法になるので、
例えば短時間でトレードを繰り返すスキャルピング取引とは全く性質が異なる運用方法になります。
- 日々の相場変動を気にしなくてよい
- 通常の為替差益も獲得する可能性がある
- 積み立て投資が可能
以下、スワップポイントの運用方法におけるメリットを紹介します。
日々の相場変動を気にしなくてよい
スワップポイント運用の場合は、日々の為替相場の変動は収益に関係がないため、相場変動に過敏に反応する必要がありません。
スワップポイントは、相場の変動に関係なく付与されていくためです。
FXの通常のトレードでは、常に相場の変動に気を配り、含み差損の限度を気にしたり、損切りの判断をする場面に差し掛かったりと、常に日々の相場変動に気を配る必要があります。
一方、スワップポイント運用では、
極端な相場変動によるロスカットの危険性さえ気を付けておけば、普段は相場変動を気にする必要がありません。
このため、スワップポイント運用はFXの初心者でも比較的取り組みやすい手法といえます。
日々の相場変動を気にせず気楽に運用できることは、スワップポイント活用の大きなメリットです。
通常の為替差益も獲得する可能性がある
スワップポイント運用は、通常のFX取引と同様ポジションを保有して取引をすることになるので、もちろん通常の為替差損益も計算されます。
保有するポジションによっては、スワップポイントと同時に為替差益も獲得できます。
例えば、メキシコペソ/JPYの買いポジションを長期間保有しており、スワップポイントがかなりたまってきた状況を想定します。
ポジションを購入した時に比べ、相場が上昇した場合、同時に含み差益もたまってきている状況になります。
ポジションを決済してスワップポイント受領と同時に為替差益の獲得
一挙両得の運用をすることが可能です。
逆に相場が下がっている場面の場合は引き続きポジションを持ち続けてスワップポイントを貯めていく運用を継続すれば問題ありません。
スワップポイント運用と同時に、通常の為替差益の獲得も考えながらの運用もできる点は大きなメリットです。
積み立て投資が可能
スワップポイント運用の場合は、株式投資や投資信託などの運用でよく利用される積み立て投資のような形式の資産運用をすることができます。
コツコツと資金を貯めていきたい方に適した運用方法で、初心者向けといえます。
積み立て投資をする場合は、
少ない証拠金でポジションを持てる通貨ペアを選択することがおすすめです。
例えば、レバレッジが10倍で、
最低通貨数が1LOT=1,000通貨単位
のFX会社での運用を想定します。
アメリカドル/JPYの通貨ペアを保有するためには、
換算レートが100円とした場合、
100×1,000÷10=1万円の証拠金を準備する必要があります。
メキシコペソ/JPYの通貨ペアの場合、
相場が5円程度なので、
5×1,000÷10=500円でポジションを保有することができます。
毎月5,000円を証拠金として積み立ての感覚で入金していき、
その都度買いポジションを増やしていくことができます。
相場が低く、通貨数が少ない通貨ペアの方が、
スワップポイントの積み立て投資に適しているといえます。
スワップポイント運用のデメリット
スワップポイントによる運用は、
長期投資スタンスの中では初心者でも取り組みやすいおすすめの手法と考えられがちですが、同時にデメリットも存在します。
安定して利益を上げられそうな手法であることは間違いありませんが、過信しすぎると思わぬ損失を被ってしまう危険性もあります。
メリットともに、デメリットもしっかりと理解して、運用を行ないましょう。
金利の変動リスク
ロスカットの危険性
スワップポイントを長期スタンスで貯蓄していくスタイルとはいえ、
FXトレード上でポジションを保有し続けることになります。
すなわち、為替変動のリスクを常に受けていることには変わりありません。
資金管理を確実に行わないと、
急激な相場変動を伴ったときにはロスカットになる危険性があることを忘れてはいけません。
特に、積み立て投資のスタイルを取っている場合、
どんどんポジションが貯まっていくことになります。
その分、相場変動によって受ける含み損失発生のリスクも増えることになります。
相場に対してはそれほど過敏になる必要はありませんが、
資金管理を行なってロスカットが起こる相場の水準がどのあたりなのかを把握しておくことは必要です。
スワップポイント運用といえどもロスカットの危険性があることを理解し、
可能なら十分に余裕のある証拠金額を維持することがおすすめです。
金利の変動リスク
前述のように、スワップポイントが発生する仕組みは、
通貨ごとに設定されている金利差によるものです。
金利は通貨によって決まっており、金利が高い通貨はたいてい決まっていますが、
その金利水準が常に維持されているかといえばそうではありません。
金利が下がることも十分に起こりえます。
例えば、十数年までは高金利通貨の代名詞であったニュージーランドドルは、
2021年2月現在ではかなり金利が下がってしまい、
スワップポイント運用のうまみが相当減ってしまっています。
金利が変動すると、伴って相場が急下降するケースが多いことも大きなリスクとなります。金利は常に維持されないということを理解したうえで、
スワップポイントの運用をする必要があります。
金利が下がる見通しとなった通貨ペアは、
早めに解消してしまう方が良いケースも起こりえます。
スワップポイント運用のおすすめ手法
スワップポイント運用は、初心者向けで比較的簡単な手法ではありますが、デメリットもあるので運用の際には注意が必要です。
スワップポイントを活用した運用をする際におすすめの方法を紹介します。
デメリットのリスクを抑える運用ができれば、スワップポイント運用の手法は相場変動のストレスからも解放される扱いやすい手法といえます。
低めのレバレッジで運用
スワップポイントの活用には、
低めのレバレッジを適用して運用するように心がけましょう。
スワップポイントを活用する運用は、あくまで長期的なスタンスを取ることになるので、ぎりぎりの証拠金で最大限にレバレッジをかけるようなポジションの持ち方は得策ではありません。
中には、ぎりぎりまで多くのポジションをもって少しでも多くのスワップポイントを稼ぎたいと考える方もいるかもしれませんが、
スワップポイント運用は少しずつ利益を貯めていく手法ですので
短期間で利益が獲得できるものではありません。
証拠金ぎりぎりまでポジションを持ってしまえば、
少しの相場変動でロスカットが起こってしまう危険をはらんでしまうことになります。
スワップポイント運用をする場合は、
小さめのロット数で運用開始
をおすすめします。
サヤ取り手法
スワップポイント運用を活用する場合におすすめなのが『サヤ取り手法』と呼ばれる方法です。
サヤ取り手法とは?
相場変動のパターンが似ている通貨ペアを売買逆のポジションで保有し、
為替変動のリスクを相殺しながらスワップポイントを貯めていく手法
例えば、AUD/JPYとNZD/JPYの通貨ペアの相場変動のパターンは大変似ています。
AUD/JPYを買い、NZD/JPYを売りでポジションを持つことで、
相場変動の影響はほぼ相殺されるので、
日々の相場変動を気にする必要がほぼなくなります。
ただ、スワップポイントの付与率が、合計でプラスにならないと意味がありません。
上述の例だと、AUD/JPYで付与されるプラスのポイントが、NZD/JPYの売りポジションで発生するマイナスのポイントを上回っていないと意味がないという事になります。
現在の低金利時代においては、通貨ペアの選択が難しい手法といえます。
海外FXのスワップトレードは対ユーロ・対ドルの通貨ペア
スワップポイントに対して、
円と他の国際通貨との間の金利差を連想する方が多いですが、
日本円以外の通貨同士のペアでももちろんスワップポイントが発生します。
スワップポイントは、通貨ごとの政策金利の差によって発生するポイントです。
国内FX会社では、
トルコリラ/JPYやメキシコペソ/JPYなどの通貨ペアが
スワップポイント向けのペアとして有名です。
一方で海外FX会社では、
基軸通貨であるアメリカドルやユーロと、
他のマイナーな通貨との間でスワップポイントを設定しています。
基軸通貨=世界に流通している通貨
米ドル
ユーロ
ユーロ/トルコリラやアメリカドル/メキシコペソなどのペアがあります。
日本円と同様、ユーロやアメリカドルも金利が低く設定されているので、高金利通貨との組み合わせによりスワップポイントの運用が可能になっています。
まとめ
ここまでFXの初心者にスワップポイント活用や高い通貨ペアについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
スワップポイント運用は、初心者でも始めやすく相場変動を必要以上に気にしなくてもよい手法です。
しかし、証拠金に対してポジションを持ちすぎることによるロスカットの危険や、金利は変動する可能性があるというデメリットもあります。
しっかりとメリットとデメリットを理解して、活用しましょう。