海外FXの始め方

FXで発生した損失は翌年に繰越できる!ちなみに海外FXだった場合は?

FXトレードを行なう中で発生した損失は、
翌年度に繰り越して翌年度の利益と相殺することができます。

必要な手続きとはどんな内容なのか解説をします。

また、損失の繰り越しは海外FX会社を利用していても可能なのか、
という点についても解説します。

FXの損失を繰越する

FXに限らず、投資をするからには利益を積み重ねて行きたいところではありますが、
残念ながら損失をこうむってしまうことももちろんあります。

FXは特にゼロサムゲームといわれるように、
儲ける人がいる一方で損をしている方もいる仕組みになっているので、
年間を通して計算すると利益がマイナスになってしまうケースは大いにあり得ることです。

年間の収支がマイナスになったときに、
単にあきらめるのではなく税制上で有利に活用できる方法があります。

実はFXでこうむった損失は
翌年以降の利益と相殺するために繰り越しをすることができます。

FXの損失を繰越するためには、どんな手続きが必要になるのか解説をします。

慣れるまで困難だと感じる方も少なくありませんが、
大変お得な制度ですのでぜひ活用してみてください。

確定申告を行なうことで可能

FXの損失を翌年以降に繰り越すためには、確定申告を行うことで可能となります。

FX損失を翌年以降に繰り越すには→確定申告を

確定申告は、
会社員の場合だとあまりなじみがなく実施したことがないという方も少なくないかもしれません。

一年間で獲得した収入と、負担した費用を集計し、
所得を計算したうえで納税するべき所得税を計算して税務署へ申告書を提出し、
税金を納める手続きになります。

確定申告は、個人事業主の方などは必須の手続きですが、
会社員の場合は勤務先が代わりに年末調整の形で申告をしてくれるので、確定申告をしないといけないケースは限られています。

しかし、
FXの損失を計上した年度では確定申告をすることで損失を繰り越すことができます。

FX損失を計上した年度は、確定申告をすると損失繰越が可能!

FXなど投資をしている会社員の方は、
利益を一定額以上獲得すれば確定申告の義務を負いますが、
逆に損失を計上しても確定申告をすることを検討してみてください。

他の項目との損益通算はできない

確定申告においては、
一年間で得たすべての所得を集計して申告する必要があります

所得の種類ごとに収入と費用を計算して集計していきますが、
所得の種類によっては利益と損失を合算して相殺することができます。

損益通算とは?
所得の種類により、利益と損失を合算して相殺すること

これを損益通算といいますが、
FXの利益は別の種類の所得と損益通算をすることはできません

例えば、
給与所得が300万円、
不動産事業で△50万円の損失、
FXによって△10万円の損失を計上したとします。

この場合、

給与・不動産所得=損益通算OK
FX=損益通算NG

に基づいて、計算しましょう。

給与所得:300万円
不動産事業:ー50万円
FX:ー10万円

所得金額合計(FXを除外して計算)
300-50=250万円

所得金額合計:250万円

となります。

先物取引に該当する雑所得と損益通算できる

FXの所得は他の種類の所得とは損益通算をすることはできませんが、
FXの分類である先物取引に該当する雑所得とは損益通算をすることが可能です

例えば、複数の証券会社で口座開設をしてFXの取引を行なったとします。

ある証券会社では50万円の利益を獲得し、
一方の会社では△30万円の損失を計上した場合、
FXによる所得は50-30=20万円として相殺することが可能となります。

FXなどで得た所得は、「先物取引にかかる雑所得等」に分類されますが、
これに該当する所得となら損益通算することができます。

申告漏れなど誤った申告をすると追徴課税などを受けて余計な負担を負う危険もあるので、確実にもれなく申告をするようにしましょう。

繰越できる限度の年数は?

FX取引において発生した損失を翌年以降に繰り越すため、
確定申告を行った場合、その損失はいつまで繰り越しが可能なのでしょうか。

FXの損失の繰越は、3年先の年度までが限度とされています。

FX損失繰越の限度年→3年先まで

例えば、
ある年度で△100万円のFXでの損失を繰り越した場合、
翌年度で30万円
二年後で40万円
三年後で20万円
の利益を獲得したとします。

繰り越した損失で利益を相殺していき、
三年間ともFXによる所得はゼロとして申告することができますが、
100-30-40-20=10万円が繰り越したものの相殺しきれなかった残高として残ります。

これは、限度の三年間で相殺しきれなかったので、
これ以上繰り越すことはできません。

四年目で獲得したFXの利益は、
そのまま相殺することなく全額申告する必要があるので、注意しましょう。

4年目以降は、相殺されないためFX利益は全額申告が必要なので要注意

繰越控除の手続きに必要な資料

FXの損失を繰越して翌年度以降の繰越控除として利用するために必要な資料とはどんなものでしょうか。

一般的には以下の資料を用意する必要があります。

  1. 確定申告書B(第一表・第二表)
  2. 申告書第三表(分離課税用)
  3. 所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)
  4. 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
  5. 年間取引報告書
  6. 源泉徴収票

①〜④:税務署でブランクフォームを入手可能
⑤:利用しているFX会社から入手可能
⑥:勤務先から発行

①から④に関しては、
税務署でブランクフォームを入手することができます。
国税庁のホームページでもダウンロード用データが公開されているので活用しましょう。

⑤に関しては、利用しているFX会社から入手することができます。
近年はほとんどのFX会社がダウンロードして自由に書面を出力できる仕組みを取り入れているので便利になっています。

⑥は勤務先から発行されるので、なくさずに保管しておきましょう。

確定申告書と年間取引報告書

確定申告書は、専門的な内容が多く、
慣れるまでかなり困難だと感じる方も少なくありません。

特にFXの損失を繰越するために必要となる書類は種類が多く、
記載の仕方もかなり細かい計算を要します。

どの項目に何を書けばいいのか、わかりづらいと感じる方も多いといわれています。

確定申告書の記載方法がわからない場合・・・
各税務署が実施している確定申告相談サービスを活用しよう

確定申告の時期は利用者が多く込み合いますので、
電話での問い合わせはなかなかうまくいきません。

税務署によっては事前予約をして税務署に赴き実際の資料を見せながら相談できるサービスを行っているので活用しましょう。

年間取引報告書も持参して、その場で確定申告書の記載をサポートしてくれるので、
大変頼りになります。

初めての確定申告の際にも安心して相談できるのでぜひ活用しましょう。

確定申告書と年間取引報告書の作成は、確定申告相談サービス利用が◎

そもそも確定申告はしないといけないのか?

確定申告の具体的な内容を紹介しましたが、
経験のない方にとってはかなり難解な内容となっています。

果たして確定申告とは必ずしもしないといけないのでしょうか。

会社員の方には勤務先で年末調整を行ってもらうことができるため、
勤務先からの給料しか所得がない方は確定申告をする必要はありません。
(給料が2,000万円以上になると自身で確定申告をする義務があるので注意しましょう。)

また、本業以外の副収入で20万円以上を獲得すると確定申告の義務が生じます

FXの利益も該当するので注意しましょう

また、確定申告する義務はないが、
確定申告を行ったほうが得をするケースもあります。

医療費控除や住宅ローン控除などの優遇を受けられるケースなどが該当しますが、
FXの損失を繰り越す手続きもこちらに該当します。

FXの損失を繰り越す手続きは、義務ではありませんが、
実施しておくと翌年度以降に税負担の面で有利となるので、
推奨されている手続きとなります。

海外FX会社でも繰越控除は可能か?

ここまで紹介した繰越控除は、
実は国内FX会社を利用した際に計上した損失にかかる手続きとなります。

同じFX会社でも、
海外FX会社を利用したときに発生した損失は繰越控除することはできないのでしょうか。

海外FX会社で発生した損失については
残念ながら繰越控除の手続きをすることはできません

同じFXによる損益ですが、海外FX会社を利用して計上した損益は、
国内FX会社のものとそもそもの分類が異なるので、不可能とされています。

FXを実施する際にまずは特定の証券会社などで口座開設をする必要がありますが、
どの会社で口座開設をするかを決める際に、
繰越控除のことも含めて検討するようにして、後で後悔のないようにしましょう。

海外FXは総合課税の扱いとなり繰越控除はできない

海外FX会社を利用して計上した損益は、
そもそも日本国内FX会社を利用して計上する損益とは性質が大きく異なります。

国内FX会社で計上した損益は
「先物取引にかかる雑所得等」という分類になっていますが、
海外FX会社は国内税務上では先物取引にかかるものに分類されません

所得の分類上は雑所得であることは間違いありませんが、
国内FX会社が分類される先物取引には含まれていないことをしっかりと理解しておきましょう。

海外FXは繰越控除できないので要注意!

海外FXの損失が繰越できない理由

同じFXによる損益であるのに、
国内と海外では損失の繰越の可否が異なるのはどのような利用によるものでしょうか。

損失の繰越控除ができるものは、
日本国の税務当局が認可した投資に限定されます

日本国内の証券会社などを利用して発生したFXの利益に加え、
株式投資や投資信託により損失も
繰越控除の対象として日本の法律で定められています。

しかし、海外FX会社を利用した損益については
この分類に含まれていないため、繰越控除をすることができないとされています

同じFXなので繰越控除ができると考えている方が多いですが、
海外FX会社を利用する際には不可であることを理解して、
正しく申告をする必要があります。

項目によっては損益通算が可能

海外FX会社で計上した損益は、
国内FX会社で得た物と損益通算をすることはできませんが、
他の所得との損益通算をすることができるものが一部あります。

同じ雑所得に分類される中で、
先物取引に該当しないものが損益通算の対象となります。

例えば、雑所得の一つである年金は損益通算の対象となります。

年金受給者(年間200万円)が、
海外FXで
△20万円損失を計上した場合・・・
200-20=180万円
として年度所得の相殺が可能

他に、原稿料などの副業収入なども損益通算の対象とできるので、
あらかじめどんな所得が損益通算の対象となるのか、確認しておきましょう。

繰越控除以外の国内と海外のFXにおける税制面の違い

国内FXと海外FXとでは、繰越控除ができるか
どうか以外にも税制面での違いがあります。

所得税の申告にかかることは、
FXを始めとした投資商品を扱う上で必ず理解しておかないといけない部分なので、
口座を開設する会社を決める段階からしっかりと理解をして考慮することをおすすめします。

国内FXと海外FXでの税制面での最も大きな違いは、
申告の分類の違いによるところです

本業の収入を含め、
他の収入金額によって有利となるか不利となるかが変わってきますので、
他の収入の金額の規模なども含め、考慮する必要があります。

総合課税と申告分離課税

国内FX会社で計上した損益は、
『申告分離課税』という形式で手続きをすることになっています。

申告分離課税とは?
他の所得は別で個別で税率を乗じて納税額を算出する方式

2021年5月現在、FXで得た利益に対しては、
20.315%(復興特別所得税を含む)の税率で税額が産出されます。

一方、海外FXで得た利益は、
他の所得と合算して申告する『総合課税』の形式に当てはまります。

総合課税で採用される税率は、
総所得額によって変動する『累進課税』の形式となっている

そのため、海外FXによる利益を含めた総所得額が大きくなればなるほど、
海外FXで得た利益に対する税額負担は大きくなってしまいます

逆に総所得額によっては、
国内FX会社で採用される20.315%という税率を下回っているケースもあります。

総所得額によって、
海外FXの利益と国内FXの利益のどちらが税負担が大きくなるかが変わってきます。

まとめ

以上、損失の繰越控除について、
国内と海外のFX会社の違いについて解説をしてきました。

同じFXでの利益といえども、
国内と海外とでかなりの精度の違いがあることがわかります。

利用するFX会社を決める際には、
もちろんサービス内容やトレードのしやすさなどを第一に考えて問題はありませんが、
最終的に口座を開設する前に、
税制面のことも配慮しながら手続きを進めることをおすすめします。