海外FXトレードにおいて、トレードの手法を理解し活用することはもちろん重要ですが、それと同様、あるいはより重要な事項として、ロット管理・資金管理を挙げることができます。
この記事では、安全にかつ長期的にFXトレードをするために欠かせないロット管理について、海外FX初心者が注意するべきポイントを解説します。
ロットとは?
そもそもロットとは何か、きちんと理解しないままFXトレードを開始している方が結構多いです。ロット数の把握は、FXトレードを行なったときに発生する損益計算の根拠となる非常に重要な要素です。
正確に理解することは、安全にFXトレードを継続して実施していくうえで欠かせないことです。FXトレードの基礎となる部分ですので、よく理解してからトレードに臨みましょう。
取引単位・取引数量
『ロット』とは、FXトレードを行なう際の取引単位を表します。
ロットとは?
FXトレードを行なう際の取引単位
FX会社によって通貨量が変化する
ロットという言葉自体は、製造業者や貿易関係の業者だと見かける機会が多い言葉です。
ある商品の製造を行なう際、
100個で1つのセットとして管理する際に、100個を1ロットと呼びます。
また、貿易などの輸送の際も同様に、ある商品を輸送する際に100個セットで実施するときには、100個で1ロットという呼び方をします。
FXにおけるロットは、FX会社によってその通貨量が異なります。
海外FX会社のXM Tradingのスタンダード口座:
1ロット=10万通貨
国内FX会社の場合:
1ロット=1万あるいは1,000通貨であることが多い
発生する損益額に影響を及ぼす
ロットの通貨量とロットの数によって、
FXトレードにおいて発生する損益の金額に直接的な影響が及びます。
FXトレードで発生する損益計算の根拠となる基礎中の基礎となる部分ですので、きちんと理解をしておきましょう。
例)
1ロット:1,000通貨
通貨ペア:USD/JPY
レート:110円
10ロット、買いポジション保有。
レート:115円に上昇した時、全ロット数を決済した場合・・・
【1ロット:1,000通貨】
1000×10×(115-110) = 5万円
→5万円の利益
【1ロット:10,000通貨】
1万×10×(115-110) = 50万円
→50万円の利益
ロットとレバレッジの関係
ロットとレバレッジの関係により、必要となる証拠金の金額が決まります。
レバレッジを高く設定できるFX会社を利用すると、レバレッジを高くできないFX会社と比較して、少ない証拠金金額でも同等の規模のトレードをすることが可能になります。
例)
1ロット:1万通貨
通貨ペア:USD/JPY
ポジションレート:100円
1ロット保有する場合で必要な証拠金は・・・
【レバレッジ:25倍のFX会社】
1万×1×100÷25 = 4万円
→4万円の証拠金
【レバレッジ:100倍のFX会社】
1万×1×100÷100 = 1万円
→1万円の証拠金
利用するFX会社を選択する際には自分に合ったものを選びましょう。
ロット管理をうまくできないとどうなるか
FXトレードをすること自体は、ロット管理及びロットに関する理解がなくても、トレード手法を理解していれば実施することはできます。
しかし、ロット管理ができていないと、レートの変動によってどれくらいの損益が発生するのか、ひいてはどこまでレートが変動すれば証拠金が不足するのか、といった想定をすることができません。
以下では、FXトレードの基礎となるロット管理ができていないと起こりうるトラブルについて解説します。
強制ロスカットになる可能性
ロット管理ができていないと、
強制ロスカットになるレート水準を想定することができず、いつの間にか強制ロスカットが実行されて証拠金を失ってしまう可能性があります。
では、10万円の証拠金を投入し
USD/JPYの買いポジションを
100円のレートで
1万通貨保有しているケースだとどうなるのか具体例を見ていきましょう。
証拠金率が50%になると強制ロスカットが実行されるFX会社を利用していた場合
【強制ロスカットが発生するポイント】
10万円の50%=5万円
→証拠金5万円となるレート
・・・5円のレート変動が起こるとロスカットとなると試算できる
【ロスカットのポイントとなるレート】
110-5= 95円
→レート:95円
ロットに関する理解が不足してきちんとロット管理ができていないと、
強制ロスカットが発生するレート水準を理解することはできず、
気が付いたらロスカットが起こっていたという事態に遭遇する危険性が高まります。
想定外の損失を被る
ロット管理ができていないと、発生する損失の規模を把握することが難しいため、思っていた以上の損失を被る可能性に気づかずトレードをしてしまう恐れがあります。
1ロット当たりの通貨数を理解していれば、
レートが動いた幅によって発生する損益を計算することができますが、
通貨数を理解していないと
損益の計算をすることができず、相場の変動に備えておくことができません。
例)
1円分のレート変動が起こった場合・・・
【1ロット:10,000通貨】
→1万円の損益発生
【1ロット:100,000通貨】
→10万円の損益発生
トレードに対する精神的恐怖心
ロット管理ができていないことにより、大きな損失を被ってしまった場合、金銭面の損失はもちろんのこと、精神的な負担感も非常に大きくなってしまいます。
場合によっては、FXトレードに対する恐怖心を抱えてしまい、継続してFXトレードができなくなる精神状態に陥る危険があります。
特に初心者の場合は、ロット管理ができていない状態で大きなボリュームのトレードをしてしまい、いきなり高額の損失を計上してしまっては、次のトレードをしようという意欲を喪失してしまうことも大いに考えられます。
FXトレードを開始する前に、損益額のシミュレーションを自分でできる程度にまでロット管理に関する理解を深めておくことをおすすめします。
FX初心者におすすめのロット管理
ロット管理の方法は人それぞれです。
資金の規模もトレーダーによって異なりますし、目指す利益の規模ももちろん異なります。自分に合ったロット管理の考え方、ルールを持つことが必要ですが、FX初心者としてはどのように考えたらよいかわからないという方も少なくありません。
一般的におすすめと考えられているロット管理方法を紹介するので、自分に合った管理方法・ルールを見つけて安全にFXトレードを楽しみましょう。
- 自己資金に対する損切り額の割合を一定以下にする
- 保有ロットの上限を決めておく
- 保有ポジションを増やしすぎない
自己資金に対する損切り額の割合を一定以下にする
FX初心者がロット管理を考える際にまず気を付けるべきことは、無理なトレードをせず、リスクを軽減して取引をすることが肝要です。
FXトレードのボリュームの目安として、損切り注文を入れた際に、その決済注文が実行されて発生する損失の金額を、自己資金の金額に対して割合を一定に定めておく方法は広く利用されています。
一般的に、損切り額が自己資金の2%を下回るようなボリュームとするケースが多く見られます。
では、証拠金10万円があるとして
2%で計算するとどうなるのか具体例を見ていきましょう。
例)
証拠金:10万円を投入
1ロット:1,000通貨 の場合・・・
証拠金10万円に対する2%とは?
10万×0.02 = 2,000円
→2,000円
【1ロットのポジションを保有した場合】
2,000÷1,000=2円分
→2円分のレート差に損切り注文
【110円の買いポジションを持った場合】
110-2=108円
→108円のストップ決済注文を損切り目的に
保有ロットの上限を決めておく
保有ロット数の上限を決めておくことも、有効なロット管理の方法です。
FX会社ごとに1ロットあたりの通貨数は決まっているので、
保有できる通貨数の上限をあらかじめ定めておき、
それを上回るエントリーは絶対にしないというルールを自分の中に設ける方法となります。
最初に決めたロット数の上限を超えるトレードの場合は、
エントリーを取りやめ、リスクを限定することが重要です。
保有ポジションを増やしすぎない
保有するポジションの件数を増やさないことは、ロット管理上、リスクを限定するという目的ももちろんありますが、複数の種類のポジションを持つと、一つ一つに対する分析がおろそかになってしまい、トレード自体の精度も下がってしまいがちです。
特にFX初心者の場合は、複数のポジションを同時にチェックすることは難しいです。
相場を見て、エントリーのチャンスと判断すると、積極的に挑戦したくなる気持ちが出てきてしまいがちですが、すでに複数のポジションを持っている場合は、エントリーを思いとどまることもロット管理の面では重要です。
具体的なロット管理の手法
テクニックの面からアプローチした、具体的なロット管理の方法もあります。
FXトレードを安定的に長期間楽しむためには、
いかにリスクの少ないトレード手法を用いるかという点が非常に重要になります。
利益を上げて儲けることよりも、損失をどのように減らすか、という視点で考える方が安全です。外国為替相場はあらゆる要因で変動するもので、完全に読み切ることはプロのトレーダーでも難しいとされています。
リスクを限定したトレードを心がけることで、損失の幅を制限することが可能となり、ひいては口座の資金管理につながります。
建値決済
建値決済とは、保有しているポジションの約定レートと同じレートで決済をする、あるいは決済のストップ注文を入れておく手法のことです。
建値決済とは?
保有しているポジションの約定レートと同じレートで決済する、
あるいは決済のストップ注文を入れておく手法
では、USD/JPYの買いポジションを
100円のレートで保有しているケースだとどうなるのか具体例を見ていきましょう。
例)
通貨ペア:USD/JPY
ポジションレート:100円
レート:102円に上昇した場合・・・
→この時点で、
ストップ注文で100円の損切り注文を設定しておく=建値決済
【相場が反転して円高の方向に動いてしまった場合】
ポジションの約定レートと同じレートで決済されるため、
損益はゼロという結果になります。
非常に安全なトレード手法で、多くの方が利用しています。
建値決済と分割決済の組み合わせ活用
前述の建値決済に加え、分割決済という手法を組み合わせた方法も利用者が多いおすすめの手法です。
分割決済とは?
保有するポジションのうち一部を決済し、
残りはそのまま保有し続けるという手法
例えば、前述の例と同様USD/JPYの買いポジションを100円のレートで保有しているケースを想定します。
これを2ロット持っている状態で、102円のレートに達したとします。
2円分の利益が出る状況で、1ロットのみをその時点で決済して利益を確定させ、
残りの1ロットに対し、
建値決済を行なう目的で100円のストップ注文を出すという考え方になります。
トレーリングストップ
トレーリングストップとは、自動決済の注文方法の一つで、現在のレートから所定の幅でストップ決済レートが変動するものです。
トレーリングストップとは?
自動決済の注文方法の1つ。
現在のレートから所定の幅でストップ決済レートが変動するもの
『トレール注文』と呼ぶFX会社もあります。
では、USD/JPYの買いポジションを
110円のレートで保有しているケースだとどうなるのか具体例を見ていきましょう。
例)
通貨ペア:USD/JPY
ポジションレート:110円
【トレール幅を1円で設定した場合】
レート:109円(1円の下落)
→自動でストップ決済が実行
レート:111円(1円の上昇)
→トレール幅が移動し、110円がストップ決済のレートになります。
レート上昇に伴って一定のトレール幅を維持しながらストップ決済レートも上昇し、
一度上昇したストップ決済は実勢レートが下がってもそのままとなります。
手動での対応もおすすめ
トレーリングストップは自動決済の注文方法ですが、これを手動で行うこともおすすめです。
例えば、
前述の例と同様USD/JPYの買いポジションを110円で保有していたとします。
当初、損切り注文を109.50円で設定していたところ、
相場が上昇し、112円になったため、
損切り注文の内容変更を行ない、110.50円に上昇させるといった手法です。
手動で設定をするメリットとしては、
相場の様子を見ながらトレール幅を調整できる点が挙げられます。
【トレンドが終了すると判断できた場合】
→トレール幅を狭めて早めに決済を実行する
【トレンドが強くなり大きな利益が見込めそうな場合】
→トレール幅を広めにして自動決済されないようにしておく
上記のような調整をすることができます。
まとめ
ここまで海外FX初心者がロット管理を行なうことの重要性について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- FXのロットは会社によって通貨量が異なる
- ロット管理=資金管理と捉えよう
- 建値決済や分割決済を活用して管理できる
- 初心者はロット上限を決めておくのが良い
- 保有ポジションは増やしすぎない事
- 手動トレーディングストップなども有効
ロット管理は、資金管理とほぼ同じ意味を含みます。
ロットを管理してロスカットの水準や損益の数値の想定をすることは、大事な投資資金を守る基本的な考え方となります。最初に決めたルールは必ず守り、無理なトレードはしないように心がけましょう。