FXの初心者はまずマルチタイムフレームと呼ばれる手法を覚えましょう。
使い方が分からなければやりようはありませんが、複雑な物ではなく初心者でも覚えられるため、マルチタイムフレームの使い方を覚れば取引の勝率と利益を格段に挙げられます。
この記事では、FX初心者が相場を分析するため行うマルチタイムフレームの使い方に関して解説していきます。
マルチタイムフレームとは複数の時間足を分析する手法
マルチタイムフレームとは字面だけ見ると分かりませんが、簡単に説明すれば「複数の時間足を分析し、相場の流れと取引のタイミングを掴む手法」です。
マルチタイムフレームとは?
複数の時間足を分析し、
相場の流れと取引のタイミングを掴む手法
マルチタイムフレームは、
複数の時間足を見ることにより相場全体の流れを確認するため、
一つの時間足では見えない流れを確認し適切な取引を行うことが可能となるでしょう。
複数とありますが、
マルチタイムフレームでは好きな時間足を選び分析するのではなく、
短期的、中期的、長期的の3つの期間が分かる時間足を組み合わせての分析が基本です。
短期、中期、長期の3つの時間足の分析が基本
使い方としては
中期の時間足:流れが同じか確認
短期の時間足:エントリータイミングを計る
といった流れです。
FXの相場において、
短い時間足は長い時間足の影響を受けるため、
上位の時間足を分析することで相場全体の方向性が分かり取引の判断ができ、
勝率が高く利益も多くしやすい取引ができるでしょう。
FXの世界において初心者が勝てずに負けてしまうケースとして
よく挙げられるのが時間足を一つしか見てない、分析していないことであり、
すぐに取引を考えて入ってしまうため短時間の時間足で判断してしまいがちです。
短期は長期の影響を受けると先ほど書いたことから分かるように、
長期が短期とは反対の方向へ流れている場合、
短期も後々長期と同じ方向に向かう
→反対に動くのを予想せず負ける
のが当たり前の話となります。
短期ではなく長期を見て取引しているケースも考えられますが、
長期は相場全体を確認はできるもののどのタイミングで取引していいかを判断するのは向いておらず、
結局は適切な取引ができず勝率の低い取引を行ってしまう結果に繋がってしまいます。
短期、長期共に一つの時間足では不十分なため負けてしまう話であり、
お互い合わせることで分析と取引のタイミングを掴み適切な取引ができるでしょう。
トレードスタイルごとのマルチタイムフレーム
複数見るといえどトレードスタイルにより取引する時間の長さは変わるため、
組み合わせてみるべき時間足も変えなければいけませんが、
相場全体の方向を意識する意味では共通して日足の確認は心がけておきましょう。
マルチタイムフレームは複数の時間足を見る手法ですが、
複数だからとあまり多くの時間足を見てしまうと
情報量が多くなりすぎてしまい、
FXに対する経験の少ない初心者では混乱する可能性が高く逆効果となってしまいます。
マルチタイムフレームであまり多くの時間足を見てしまうと
情報量が多くなりすぎる
→初心者は混乱する可能性が高く、逆効果
熟練トレーダーであれば多くの時間足による分析も不可能ではありませんが、
初心者を始めとしてマルチタイムフレームの分析をする場合は
基本的に3、4つ程度が適切です。
トレードスタイルにより適切な時間足は違う一方、
チャートで見れる時間足は取引している業者により違う話もあるため、
自分が取引に利用している業者のチャートでは何種類の時間足が見れるか確認した上で分析する種類を考えましょう。
スキャルピングは分足が中心となる
スキャルピングは数秒から数分程度で取引が終わる超短期的トレードスタイルなため、
見るべき時間足も必然的に短時間の種類に集中します。
スキャルピングとは?
数秒から数分程度で取引が終わる超短期的トレードスタイル
チャートで見れる分足の種類は様々ですが、
主に見るべき時間足の種類は以下が適切と考えられるでしょう。
・短期…1、5分足
・中期…15、30分足
・長期…1時間足
短期のスキャルピングも相場全体の動きを確認する上では日足の確認も必須であり、
長期的なトレードスタイルに比べ頻繁に確認する必要はありませんが、
相場の流れが変わったタイミング等、定期的に確認しましょう。
しかしスキャルピングは超短期の取引であり、
取引回数を重ねて利益を蓄積していくスタイルなため、
必然的に取引回数が増え分析も短時間で済ませなければいけません。
取引においてもトレーダー側は瞬間的に判断してエントリーから決済まで考えなければならず、マイナスが出た時も割り切って損切りによる決済を行わなければならないため初心者には敷居が高いです。
そのため初心者の場合は、
マルチタイムフレーム以前にスキャルピングでの取引自体やめておいた方がいいでしょう。
デイトレードは分足が短期、時間足を長期として考える
デイトレードは遅くてもその日の市場が閉まる前に決済し、次の日にポジションを持ち越さないトレードスタイルなため、
短期ではあるもののスキャルピングに比べ分析すべき時間は長いです。
デイトレードとは?
その日の市場が閉まる前に決済し、
次の日にポジションを持ち越さないトレードスタイル
デイトレードで確認すべき時間足としては以下が適切と考えられるでしょう。
・短期…15、30分足
・中期…1、2時間足
・長期…4時間足、日足
相場の流れによっては
15分足でもエントリータイミングを見極められないケースが多いため、
細かく見極めたい場合は5分足以下を確認するといいです。
デイトレードはスキャルピングに比べ取引を行う範囲が1日の間なため取引と分析の猶予は十分あり、FXを始めたばかりの初心者でもトレードスタイルの選択先としては間違っていません。
しかし1日で取引を終わらせる必要があり
取引をある程度の回数行い利益を積み重ねる必要はあるため、
猶予はありつつも短時間での判断は問われます。
分析から判断もできるかからデイトレードで取引を行っていくか判断しましょう。
スイングトレードは時間足を短期とし、日足や週足を長期とする
スイングトレードは日を跨いで数日から数週間と長期間ポジションを保有し、取引回数を少なくし1回の取引で多額の利益を狙うトレードスタイルとなります。
スイングトレードとは?
数日〜数週間と長期間ポジションを保有し、
取引回数を少なくして1回の取引で多額の利益を狙うトレードスタイル
長期間保有するため見るべき時間足も長い期間見れる種類が中心となり、
主に適切と考えられる種類は以下の通りです。
・短期…1、4時間足
・中期…日足
・長期…週足以上
デイトレードと同様に細かくエントリータイミングを狙いたい場合は
分足の利用も考えましょう。
スイングトレードは長期的にポジションを保有し大きな利益を狙う取引となる関係から相場を長期的な目線で分析する必要があり、
マルチタイムフレームによる分析ができなければ勝てません。
見方を変えればスイングトレードで取引を行う場合、
勝つために取引を続けていけば自然とマルチタイムフレームの使い方が身に付くとも考えられ、相場の経験を積む意味ではFXの初心者に向いているトレードスタイルといえます。
短期的なトレードスタイルに比べ
ゆとりを持ち時間をかけてマルチタイムフレームによる相場の分析ができる観点から見ても最適です。
マルチタイムフレームの使い方
短期が長期の影響を受ける関係上、マルチタイムフレームによる分析長期から始まり短期で終わる構成となります。
取引をしている業者のチャートによっては設定の変更により同じ時間足を平行して表示できる機能もあり、利用すればマルチタイムフレームによる分析がよりしやすくなるため実装されている場合は活用させてもらいましょう。
長期の時間足で相場の状況を確認
マルチタイムフレームで最初にすべき作業が長期の時間足を分析することで、主な目的は相場の流れと方向性の確認となります。
現在トレンドかレンジか、
トレンドの場合は上昇と下落、
流れが強いか弱いか等で取引の目安とするため
サポートやレジスタンスラインといった抵抗線も確認しましょう。
長期の時間足は最も影響力の強い相場なため、
取引をする上では長期で確認できた情報を優先して考えるのが基本であり、
例えば長期が上昇トレンドであり継続している場合は
中期と短期の確認をする際にも相場は上昇トレンドで流れている前提に考えます。
中期で方向性を確認し、短期で取引のタイミングを計る
長期の確認をした後は中期の確認であり、
確認すべきは長期と同じか別の方向に流れているかであり、
確認した上で短期の時間足から取引のタイミングを計ります。
中期の流れにより取引の方向性が決まるものであり長期と同じ場合は戻りから流れが戻るのを狙った順張り、逆の場合は将来的に長期の流れへ沿うのを見越し、抵抗線を意識して逆張りをしましょう。
しかしFXの初心者において逆張りは順張りに比べリスクのある取引なため、
逆張りが必要な相場の場合は手を出さず、
同じ方向に流れる時を待ち順張りで入るのも一つの手です。
【短期間を利用して取引を行う場合】
同時に決済をするタイミングも考えておいた方が◎
【流れが同じ方向性で順張りをする場合】
大きな利益が狙えるため、長期的な保有が◎
【流れが違い逆張りする場合】
すぐに手仕舞いが◎
全ての時間足で同じ方向を向いていれば判断に迷う必要はありませんが、
実際の相場で時間足全てが同じになる場面はそうそうないため、
長期と中期が同じところで取引を考える等である程度は妥協しなければなりません。
難しい時は静観も一つの選択
マルチタイムフレームで分析した結果、
相場の流れが分からず取引の判断が難しいというケースも考えられるでしょう。
取引が難しい場合は適切な判断ができず、
下手に手を出すと失敗し損失のリスクを背負ってしまうため静観するのも一つの手です。
特に長期、中期、短期と全ての相場で方向性が違う場合は
熟練のトレーダーですら分析が難しいため、
初心者であれば分析以前に手を出さないと判断した方がいいでしょう。
長期が相場を見る情報として最優先になる関係上、
方向性の定まらないレンジ相場の場合は
逆張りによる取引手法はあるものの初心者が手を出すと痛い目見る可能性も高いため、
手を出さない方がいいです。
テクニカル分析を利用したマルチタイムフレームの使い方
マルチタイムフレームを使う場合は
テクニカル分析を利用することで、より分析しやすくなりチャート上に情報が表示されるため初心者の目線からしても分かりやすくなります。
しかしマルチタイムフレームは最初に長期の時間足を確認する手法ですが、
下記のようになってしまいがちです。
テクニカル分析の多くは、時間足が長期になる程反映も遅くなる
→トレンド相場が発生した場合は遅れての参加となってしまう
多数の種類があるところから理解できるように
テクニカル分析には種類ごとの欠点があるため、単体で運用しては誤った分析と取引をしてしまいます。
基本的にテクニカル分析は複数の種類で運用するのがよく、
種類としてもトレンド系列とオシレーター系列に分類されるため両方を合わせるのが適切です。
移動平均線の位置で相場の状況を確認
テクニカル分析において最も基本的な移動平均線はトレンド系列として、
現在の相場を分析するのに役立つ種類です。
特徴としてはマルチタイムフレームと同様に
長期、中期、短期の違う日数で計算された3本の線が相場の値動きに表示されるものであり、
ツールの設定次第では3本ではなく2本以下の表示もできます。
分析で見るポイントは移動平均線の位置です。
トレンド系の分析では『移動平均線』の位置をチェック
上昇傾向→線は値動きの下
下落傾向→線は値動きの上
値動きとの位置関係により、現在の相場における流れの強さの分析が可能
移動平均線の最も活用できる場面がトレンド相場であり、
相場でトレンドが発生していると線が値動きを支える抵抗線のような働きをするため、
抵抗線として機能しているかでトレンドの発生を判断できます。
特に3本の線全てが抵抗線となっていれば強いトレンドが発生していると判断できるため、長期の時間足で確認できた場合は
短期、中期共に逆行している場合でも、近いうちに長期の流れに沿うと分析できるでしょう。
逆に長期で線が値動きと被っている場合は
レンジ相場と判断できるため、
中期と短期でトレンドが発生している場合も流れが継続する期間は短いと分析できます。
ボリンジャーバンドのバンド幅でトレンドの発生と強さを確認
ボリンジャーバンドは
バンド幅と呼ばれる線が真ん中の移動平均線を中心に上下3本表示されるテクニカル分析であり、
バンド幅はシグマとも呼ばれ移動平均線から近い順に1σ、2σ、3σと名づけられています。
相場の流れを確認する上で見るポイントはバンド幅の広さであり、
お互いのバンド幅がほとんど離れていない縮小している状態は相場の流れが弱く値動きがないため、
長期の時間足で見られた場合は手を出さない方がいいと判断できるでしょう。
しかしバンド幅が縮小している状態は力を溜めている状態ともいわれ、
相場が進むいずれ拡大、エクスパンションしてトレンド相場となり一方の方向へ大きく動くため、長期の時間足で確認できた時は下位の状態を確認しつつエントリータイミングを計るといいです。
トレンド相場が発生すると値動きはバンド幅の間を推移するバンドウォークになりやすくバンド幅を抵抗線として推移するため、
エントリータイミングを狙う場合は
長期のバンド幅で抵抗線として機能しているシグマを確認し、
短期の時間足もバンド幅をエントリーポイントとして目安にし入るといいでしょう。
逆にバンド幅は抵抗線として値動きが戻るラインを示しているため、
長期でレンジ相場が確認できた場合は、
戻る位置として考え中期と短期の決済ポイントや反発を考えてのエントリーポイントと考えてもいいです。
オシレーター系列を利用し相場の流れを見極める
テクニカル分析において
オシレーター系列は値動きとは別の箇所に情報が表示され、
中の推移で現在の相場における流れを表示します。
- MACD
- RSI
- ストキャスティクス
基本的に複数の線が表示され推移するという形式なのは変わらず、
線が上にあれば相場は上昇、下にあれば下落と見極められる構成です。
長期の時間足を確認し線が上か下かで現在の相場の向かっている方向性を確認できると同時に、線が反対の方向へ推移している場合は流れの変わる可能性があると分析できます。
種類によっては流れが逆行するシグナルともとれ、
RSIの場合は一定の数値まで到達すると反転する可能性が高いと見られるため、
長期で見られた場合は中期と短期も同じく転換する可能性が高いと判断できるでしょう。
MACDの場合は線のクロスというシグナルで下から上、上から下に流れの転換を確認でき、長期は形成されるまで時間がかかるものの、確認できれば相場がクロスの方向へ流れると判断でき、中期と長期では長期を踏まえた上で取引のシグナルとしてエントリーポイントと判断できます。