高金利通貨の代表格ともいえるトルコリラは、
金利を生かした長期的なスタンスでの投資に適した通貨です。
金利を中心にしたトレードとはいえ、
今後の相場動向には気を付けておきたいところです。
この記事では、トルコリラの今後の動向について解説をします。
トルコリラとはどんな通貨?
そもそも、トルコリラとはどんな通貨でしょうか。
トルコリラ =トルコで利用されている通貨
トルコリラは、通貨の名称の通りトルコ国で利用されている通貨です。
トルコは交通や通商の要衝として、
原始の時代から重要な役割を担ってきた国家です。
トルコ・・・
ヨーロッパとアジアの中間に位置する地域。
地域柄、周囲の紛争などに巻き込まれることが多く、
政情不安定な地域としても認知されています。
トルコは親日の意向が強い国家で、
日本人の多くが観光目的や商業進出を目的にして来訪するケースが多くなっています。
トルコリラは、そんなトルコでメインに利用されている通貨で、
FXにおいては世界中の投資家が注目する魅力的な通貨となっています。
マイナー通貨で相場変動が大きい
トルコリラという通貨の特徴は、
いわゆるマイナー通貨であるため、相場変動の値動きが激しい点が挙げられます。
最もメジャーな通貨である米ドルやユーロなどは、
全世界規模で非常に大量の取引が行われているため、
一回当たりの相場に与える影響は大きくありません。
一方で、トルコリラなど新興国のマイナー通貨は世界中における取引量が多くないため、
ある大きな取引が発生した時に一気に相場が変動するという特徴を持っています。
特にトルコリラは新興国のマイナーな通貨の中でも
- 特に相場変動の波が大きい
- 保有し続けること自体にリスクがある
と言われています。
そのため、長期投資スタンスの場合は注意して取扱いをする必要があります。
国家の情勢などで相場変動が起こりやすい
トルコという国家の地理的・政治的状況から、
各種事件などが起こりやすい地域です。
事件などのニュースが起こるその都度、
トルコリラの相場は大きく変動することになります。
また、トルコの国家全体の経常収支は慢性的に赤字になっているため、
海外からの資本流入は必須のこととなっています。
このため、原油の価格を代表例とした商品価格の変動や、
アメリカやヨーロッパ各国の経済情勢の変動にトルコ自体も大きく影響を受けるという側面があります。
これらのことから、トルコリラという通貨自体もあらゆる要素で変動しやすいです。
通貨自体を保有するリスクが高い通貨となっているため、
取り扱いには注意する必要があります。
高金利通貨の代表格
トルコリラが世界中の投資家から注目を集めている最大の要因が、
高金利通貨であるという点です。
2000年以降、世界のほとんどの通貨の政策金利は下落傾向にあります。
世界的な不景気を背景として、
ほとんどの国際通貨が金利を下げざるを得ない状況の中、
トルコリラは引き続き高い金利水準を維持しています。
2019年の半ばころまで上昇傾向が継続し、
最高水準で24%の政策金利を記録しています。
その後下降を見せているものの、
2020年5月時点で8.25%となりましたが、
2021年4月現在では19%と引き続き高い水準を維持しています。
スワップポイント狙いの投資スタイルの場合には最も注目するべき通貨として、
世界中の投資家がトレードに用いている通貨となっています。
2020年までのトルコリラの相場動向
トルコリラは、
高金利通貨で買いポジションの長期保有をすることで得られるスワップポイントが魅力の通貨ですが、
トルコリラを実際に運用していた場合、
どんな運用成果が得られていたのでしょうか。
トルコリラのスワップポイントを加えた運用成果を踏まえて、
2020年までの実績について解説をします。
スワップポイントを貯蓄していく運用で、利益は得られていたのでしょうか。
含み損の計算も加味しながら、総合的な実績を考慮する必要があります。
一方的な下落傾向
トルコリラ通貨の相場変遷を、
TRY/JPYの通貨ペアで見ていきます。
TRY/JPYの通貨ペア:
2015年頃から継続して一方的な下落傾向になっている
50円前後で推移していた相場が、
継続して下落方向に推移していき、
2020年開始当初には18円台にまで落ち込んでいます。
65%程度の下落が起こるのは、
メジャーな通貨ではなかなかありえない下落となってしまいました。
2020年も下落傾向は続きました。
2020年の終盤には、
最安値:12.012を記録
終値:13.7前後
を記録しました。
スワップポイント狙いの投資をするケースの場合は、
ある程度含み損が出ても
そのまま放置してポイントを貯蓄するスタンスである方が多いです。
しかし、あまりにも大きな下落相場となってしまったため、
2015年あたりから継続して買いポジションを持っている方は、
相当大きな含み損を抱えてしまっていることになります。
多くの方がやむなくポジションをクローズして
損失を計上してしまったことが予想されます。
スワップポイント狙いの投資といえども、
過剰なまでの相場変動が発生してしまっては、
ポジションを持ち続けることが困難となりなかなか運用ができなくなってしまいます。
底値打ちはどこか
トルコリラ安の傾向が起こっている要因で最も重視されているのが、
トルコ国内で発生しているインフレの状態です。
トルコ国内のインフレ率が非常に高く、
通貨の価値が下がっていることから、
一方的なトルコリラ安の傾向が継続しているという背景があります。
トルコリラ安を食い止めるため、
トルコ政府は大規模な政策金利上昇を実行
↓
一時的に上昇の方向に変換されたものの
結局下落傾向を止めるには至らず、最安値に。
今後のトルコリラを利用したFXトレードを考える上で、
どこが底値で底値打ちはどのあたりの水準なのかを見極めることが重要になります。
相当低い相場に達しているため、下値は限られており、
現状が底値なのではないかと考える見方が広がってきていますが、
どうなるかまだまだ予断を許しません。
今後のトルコリラの動向に注視する必要があります。
今後のトルコリラはどうなる?
長期的な下落傾向が続いているトルコリラですが、
今後はどのような動きになっていくのでしょうか。
また、注目の政策金利の動向はどのようになっていくのでしょうか。
2021年のトルコリラの動向は、下値は限られているものの、
上昇に転じる明確な要因がないため、
現状の水準を継続あるいは若干の下落が見られるのではないかと予想する向きが多くなっています。
今後も引き続きアメリカとの関係性や
政策金利の発表前後の相場変動には注視する必要があります。
新たにアメリカ合衆国の大統領に就任したバイデン大統領の政治手腕や政策動向、
トルコとの関連したニュースにも注視していかないといけません。
- トルコ自体、もともと政情不安な立地条件にある
- 経済的に海外との関連が非常に強く、海外の動向に左右される傾向が継続
などの点を考慮すると、
今後も不安定な相場変動を見せながら若干の下落あるいは横ばいの相場動向
になっていくと考えられています。
相場変動が起こった時の振れ幅は大きいことがあるので、
トルコリラを運用に利用している方は資金管理に
徹底した注意を払いながら活用しましょう。
トルコリラを使ったおすすめ運用方法
トルコリラを利用したおすすめの運用方法とはどんなものでしょうか。
世界各地の投資家が利用しているトルコリラの通貨は、
投資の面で考えると非常にメリットがある通貨です。
ただ、近年の継続した下落傾向で大きな損失を被ってしまったという方も少なくありません。
リスクも十分にはらんでいる通貨であることをしっかりと理解し自覚して、
運用に用いていくことが重要になります。
かなり相場が下落した現状でも、
これまでのトルコリラの運用方法と大きく変わる点はありません。
相場の安定感が期待できないトルコリラだからこそ有効なリスクヘッジの運用方法もあるので、長期的な視点で運用を行ない、
効率よく資産を増やしていきましょう。
リスクも多くはらんでいますが、
大変魅力的な通貨であることに変わりはありません。
スワップポイント狙いの長期投資
トルコリラのFXにおける運用方法といえば、
やはり買いポジションを持つことによるスワップポイントを蓄積している方法です。
長期的なスタンスでポジションを保有し続け、
潤沢なスワップポイントの付与を獲得していく手法がメインとなります。
相場が不安定であることを生かして、
為替差益を狙う運用をトルコリラの通貨で行なっている方ももちろんいますが、
為替差益を狙うなら他の通貨の方がメリットが大きいといえます。
FX会社によりますが、
1万通貨の保有で1日当たり20円以上のスワップポイントが付与されることもあります。
1万通貨を1年間保有するだけで、
20×365=7,300円のポイントが付与される計算になります。
(実際はポイント付与率は変動するので、この限りではありません。)
少額の積み立て投資
ただ、紹介してきたように
トルコリラの通貨は価値の上下動が激しく不安定である
というマイナー通貨らしい特徴もあります。
相場の変動をとらえながら保有するポジションを平準化する手段の代表的な手法としては、少額の積み立て投資のやり方があります。
積み立て投資とは?
保有する証拠金に見合うポジションを一括で保有するのではなく、
少しずつのポジションを積み立ての形式で少しずつ注文していくこと
購入時の相場が様々なものになり、
総じてみると平準化したレートとなる手法です。
一括で購入すると、その購入した時の相場がすべてになってしまう一方、
リスクヘッジにつなげることができる
さらに、貯めたスワップポイントを現金化するのではなく、
ポイントを元手にポジションを追加していけば、
いわゆる複利効果が享受でき非常に効率の良い資産運用を展開することができます。
トルコリラのスワップポイント狙いの手法と、
少額ずつ購入する積み立て投資のスタイルは非常に相性が良いです。
トルコリラ運用の際の注意点
トルコリラ通貨を利用したスワップポイント狙いの手法は非常に魅力的ですが、運用の際には注意するべきポイントがあります。
長期的なスタンスで着実に少しずつ利益を積み重ねていくのがスワップポイント狙いの運用方法ですが、
早く利益を増やしていきたいという気持ちに負けて、
無計画で無理な運用をするのは非常に危険です。
トルコリラの相場の不安定さを考慮すると、
FXでの運用に際して注意するべきポイントを2つ紹介します。
安定した資産運用をするには必須の条件といえます。
レバレッジをかけすぎない
スワップポイントは、
ポジションを増やせば増やすほど1日当たりの付与ポイントが増えていきます。
そのため、FXで活用可能なレバレッジを最大限に生かして、
可能な限りめいっぱいレバレッジをかけてたくさんのポジションをもってスワップポイントの最大限の獲得を目指すトレーダーもいますが、これはおすすめできません。
FXにおいて最も注意するべきはロスカットの状態です。
一気に保有する証拠金が損なわれてしまう恐ろしい決済システムです。
ロスカットにならないように無理なレバレッジをかけた運用は避けるべきです。
ある程度の相場変動が起こっても
ロスカットに達しないような余裕のある運用を心がけましょう。
適切な資金管理
レバレッジの設定方法と関連して、
資金管理を適切に行なうことも非常に重要です。
スワップポイント狙いで長期的にポジションを持つスタイルは、
日々の細かい相場変動にはあまり神経質になる必要はありませんが、
あらかじめどれくらいの相場に達したら危険なのかを把握しておくことは重要です。
どのくらいの相場に達したら損切りをするか決める
ポジションを減らしてリスクを軽減する水準を事前に把握する
ことが重要です。
自身の資金を正確に把握しておくことは、
スワップポイントの運用においては必須の条件といえます。
まとめ
以上、トルコリラの通貨を使った運用について紹介してきました。
トルコという国家情勢、地理的条件から、
相場の不安定さが目立つトルコリラを活用する際には、
きちんと資金管理をしてリスクの把握をしながら運用をすることが重要になります。
今後どのような相場情勢になっていくかは予断を許しませんが、
底値がどのあたりになるのかを探りながら
最も利益が出そうなポイントを探りつつ運用を展開していきましょう。