FX取引における相場予想をするにあたって、相場のトレンド及びレンジを見極めることは非常に重要になります。
為替相場には一定の流れが生まれることが多く、『トレンド』と『レンジ』はその最もポピュラーなものです。
この記事では、トレンドとレンジの見極めポイントを解説していきます。
FXの3つの相場トレンド
為替相場は、一定の法則で動く「トレンド」の傾向が続くといわれており、
トレンドの種類は3つあります。
トレンドの種類
- 上昇トレンド
- 下降トレンド
- レンジ
同じトレンドが続いたり、トレンドの種類が変わったりしながら為替相場は変動していきます。それぞれのトレンドの特徴をつかみ、FX取引に生かすことで相場予想を有利に進めて投資を楽しみましょう。
上昇トレンド
『上昇トレンド』は、為替レートが継続して上昇していく流れのことです。
右肩上がりのチャートを描く相場で、為替レートが上向きに動きやすい傾向になります。
上昇トレンドとは?
為替レートが継続して上昇していく流れのこと
為替レートが上向きに動きやすい傾向
USD/JPYの通貨ペアで言えば、円安ドル高に動いている相場のことで、
短期的には下落を伴いながら、全体的な相場の流れは常に右肩上がりに上昇するチャートを描いていきます。
FXの売買においては、買いポジションを持つことで順張りのエントリーがしやすいトレンドです。
下降トレンド
『下降トレンド』は、為替レートが継続して下降していく流れのことです。
右肩下がりのチャートを描く相場で、為替レートは全体的に下向きに動きやすい傾向になります。
下降トレンドとは?
為替レートが継続して下降していく流れのこと
為替レートが上向きに動きやすい傾向
USD/JPYの通貨ペアの場合で言うと、円高ドル安の方向に動いている相場のことで、
短期的な相場では上昇の動きを伴いながら、全体的な相場の流れとしては常に右肩下がりに下降していくチャートを描いていきます。
順張りトレードで言うと・・・
売りポジションを持つことでトレンドに沿ったエントリーがしやすい状況といえます。
レンジ
『レンジ』は保ち合いとも言われ、相場が上昇も下降もしない状況のことをいいます。
ただ、まったく値動きがないというわけではなく、短期的には上昇と下降を繰り返しながら、一定の範囲で相場がとどまる状況を言います。
トレンドを追ってトレードをする順張りの手法をメインにしている方は、利益を得にくい状況といえます。
レンジとは?
相場が一定の範囲でとどまっている状況(別名:保ち合い)のこと
USD/JPYの通貨ペアでいえば、100と110の間を短期的に上昇と下降を繰り返しており、チャートとしては右にまっすぐになった図形が描かれる相場となります。
トレンドを見極める3つの方法
FX取引において、今がどのトレンドになっているのかを掴むことができれば、有利にトレードを実践することができます。
現状のトレンドを見極める方法にはいくつかありますが、多くのトレーダーが実践しているトレンド見極めの方法を3つ紹介します。
自分に合ったトレンド見極め方法を見つけて、有利にFX取引を勧められるようにしましょう。
ダウ理論
ダウ理論とは、19世紀終わりころにチャールズダウという専門家が提唱したテクニカル分析の基礎となっている理論です。
「平均株価はすべての事象を織り込む」など6つの法則からなる理論ですが、初心者でも理解しやすく実践的な内容で『高値および安値が切り上がっていれば上昇トレンド、高値および安値が切り下がっていれば下降トレンド』というものがあります。
例)上昇トレンド
USD/JPYの一定期間の相場において、
高値が①105に達した後、②100に落ち
再度、③110まで上昇し、④106まで下降する場合
①105
↓
②100 (5下降)
↓
③110 (5上昇)
↓
④106 (4下降)
そして106からさらに上昇していく・・・
この相場では、高値と安値が段階的に上がっていることが読み取れます。
すなわち『上昇トレンド』と判断することができます。
ダウ理論はトレンド判断の基礎とされている人気の手法です。
トレンドライン
トレンドラインとは?
チャートにおける高値同士・安値同士をそれぞれ直線で結んだラインのこと
高値同士のライン=『レジスタンスライン』
安値同士のライン=『サポートライン』
視覚的に理解しやすく、トレンドを掴みやすい手法で、初心者から上級者まで広く利用しています。
高値同士を結んだラインを「レジスタンスライン」、安値同士を結んだラインを「サポートライン」と呼び、それぞれの傾き方や、ラインとチャートの位置関係からトレンドを見極めます。
例えば、サポートラインが右肩上がりでラインの上にチャートが描かれていれば、上昇トレンドと判断します。
また、上記の画像のように右肩下がりの場合は下降トレンドとなり、ラインをブレイクしない限りは下降基調であると判断できます。
移動平均線
移動平均線は、終値の平均値を結んで描く線で、投資判断に使いやすい手法です。
移動平均線にはいくつかの種類があり、最もポピュラーなものが『単純移動平均線』です。
単純移動平均線とは?
一定期間の相場の終値を平均し、その平均値を結んで描く線のこと
初心者から上級者まで投資判断に広く利用される人気のある分析手法です。
移動平均線自体の傾き方、あるいは移動平均線とチャートが描く現在の相場との位置関係でトレンドを掴みます。
例えば、移動平均線の傾きが右肩上がり、さらに移動平均線の上に為替レートのチャートが描かれている場合は、強い上昇トレンドだと判断できます。
トレンドの転換を判断する方法
為替相場は、一定のトレンドを保ちながら動いていきますが、いずれはトレンドが変わる転換点が訪れます。
トレンドの転換を判断することができれば、FX取引に大いに生かすことができます。
トレンドが転換したにもかかわらず同じ内容のトレードを繰り返していると、損失を計上しやすくなってしまうので、トレンド転換を掴むことはとても重要です。
こちらでは前述のダウ理論・トレンドライン・移動平均線におけるトレンド転換の判断方法を紹介します。
ダウ理論を利用した判断
ダウ理論を用いてトレンドの転換点を判断するには、
高値と安値の切り上がり、切り下がりの達成が続いているかどうかを見極めて判断します。
例えば、USD/JPYの相場において、しばらく上昇トレンドが続いていて、ある期間で高値が110、安値が105となった後再度上昇したとします。上昇が止まり高値を描いた地点が109となり、直近の高値を切り上げることができませんでした。
ここが、続いていた上昇トレンドが終わった転換点の合図だとされています。
トレンドラインを利用した判断
トレンドラインを用いてトレンドの転換点を見つけるには、
サポートライン・レジスタンスラインと現状の相場のチャートの位置関係から判断します。
例えば、上昇トレンドが続く中、サポートラインを現在の相場が下抜けた場合は、上昇トレンドが終了して転換するシグナルと判断します。
また、下降トレンドの相場の際にレジスタンスラインを現在の相場が上抜けた場合は下降トレンドの転換点と判断することができます。
移動平均線を利用した判断
移動平均線を利用してトレンドの転換点を見極めるには、計算期間の異なる複数の移動平均線を表示し、『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』を見つけるという方法があります。
デッドクロス=上昇トレンド→下降トレンドへの転換時のシグナル
例えば、下降トレンド中に短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜けた場合、ゴールデンクロスが起こったと判断し、下降トレンドが上昇トレンドに転換したと判断できます。
複数の計算期間の移動平均線を組み合わせてトレンドの転換を見極める手法です。
トレンドの特徴
為替相場で発生するトレンドには、一定の特徴があります。トレンドの特徴を掴むことで、実際のFXトレードに活用することができます。
為替相場は、常に予想通りに動くとは限りませんが、トレンドの判断は高い確率で繰り返される法則があり、トレードの基本的な判断に利用することができます。
トレンドの特徴を生かしてトレードを実践しましょう。
上昇と下降を繰り返す
トレンドが見られるといっても、一本調子で上昇したり、下降したりすることはなく、かならず上昇と下降を繰り返しながら相場を形成していきます。
上昇・下降を一定の法則と周期を繰り返しながらある一定の方向に伸びていくのがトレンドです。
上昇トレンド
→高値と安値を繰り返し、それぞれのレートが切り上がりながら相場を形成
下降トレンド
→高値と安値を切り下げながら、相場が動いていく状況を形成
トレンド相場といっても上昇と下降を繰り返して変動していくケースが大半です。
トレンドは頻繁に入れ替わることが多い
FX取引におけるトレンドは、頻繁に変化して入れ替わっていくことが多いです。
外国為替は、様々な要因に影響を受けるためです。
株式投資であれば、該当の企業の財務状況や損益実績をもとに評価され、株価が変動していくので比較的長くトレンドが形成されることが多いです。
しかし、外国為替相場に影響を与える要素は、国の政情や財政面の問題、雇用関係や国民の生産性など多岐にわたります。そのため、トレンドを形成していたと思っていたところ、想定していなかった要因の影響を受けてトレンドが入れ替わってしまうということも少なくありません。
トレンド分析と時間足の設定
FX取引において、トレンドを読む手法としてトレンドラインを引く方法を紹介しました。しかし、チャート画面でのライン描写をする際に、時間足をどのように設定したらよいかと困る初心者の方が多くいます。
トレード画面では、短期なら分単位、長期なら月・年単位とかなり幅広く時間足を設定できるようになっています。
トレンドラインを引く際に、どの時間足を選択したらよいか、基本的な考え方を紹介します。
投資スタイルに合った時間足を設定する
チャート画面の時間足設定を考える前に、自分のFX投資スタイルを決めることが重要です。投資スタイルに合わせた時間足を設定することで、効率よくトレンドを見極めることができます。
例えば、短時間で繰り返し売買を繰り返すスキャルピングトレードをする場合は、1分足から1時間足がおすすめです。
逆に長期的なスタンスのトレードをメインにするなら、日足から年足を選択するのがおすすめです。
長時間足と短期間足のトレンドをそれぞれ捉える
自分の投資スタイルに合わせた時間足のチャート画面をメインにしながら、メインの時間足設定よりも長期間の時間足のトレンドも同時に捉えておくと、安定したFX取引が可能になります。
長期の時間足で全体的なトレンドを把握し、メインの時間足で全体のトレンドの中での現状の位置関係を把握することができるためです。
例えば、長期の時間足で上昇トレンドが形成されていることを確認した後、メインの短期時間足においてトレンドの周期の中で底値に達したので買いポジションを持つと有利、といった判断をすることができるようになります。
トレンドとレンジを活用したおすすめ手法
トレンドとレンジの性質を活用したおすすめの手法がいくつか提案されています。
初心者の方でも見つけやすいシグナルを頼りにすることができ、根拠を持ったエントリーを積極的に行っていくことができる手法です。
- トレンドに沿って売買注文を出す
- 長期足でレンジを確認し、短期足のトレンドで売買
- レンジ相場で逆張りを狙う
自分にあった相性の良い手法を見つけて、FX投資を楽しみましょう。
トレンドに沿って売買注文を出す
トレンドに沿って売買注文を出す手法は、トレンドを生かした取引手法の中でも特にわかりやすく、初心者向けといえます。
サポートラインとレジスタンスラインを描写し、トレンドを見出すことができれば、周期に従って売買を行なっていきます。
例えば上昇トレンドの場合、トレンド内の周期においてサポートラインに達した時に買い、相場が上昇してレジスタンスラインに近くなったら売る、という素直なトレードです。
下降トレンドの時は逆にレジスタンスラインで売り、サポートラインで買うという流れになります。
長期足でレンジを確認し、短期足トレンドで売買
長期の時間足でトレンドを見いだせた場合は、その範囲内で発生する短期足のトレンドを活用して売買をする手法もあります。
例えば、上昇トレンドの場合において、高値のレジスタンスラインに達したところで売りポジションを保有し、サポートラインに達する頃に買い戻す取引をする方法です。
これを活用することで、長期トレンドの中で交互に繰り返す周期の上下を両方とも生かし、たくさんの取引機会を得ることができます。
長期トレンドと短期トレンドを組み合わせ、多くのトレードチャンスを見出す手法といえます。
レンジ相場で逆張りを狙う
トレンドを描かない、レンジ相場でも取引チャンスはあります。
レンジ相場の範囲内で逆張りを狙うという、中級・上級者向けの取引手法です。
サポートライン付近で買い注文を行ない、レジスタンスライン付近で売り決済を行う手法です。
逆にレジスタンスラインでの売り、サポートラインでの買い注文を行ない、周期の上下両方で利益を獲得できるチャンスを見出せます。
ただ、逆張り取引は判断を見誤ると損失を大きく発生させてしまうので、トレンドの見極めを注意して行う必要があります。
まとめ
ここまでトレンドとレンジ相場の考え方について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- トレンドの種類は、上昇・下降・レンジ
- 高値の切上げor安値の切下げが達成できなくなったら転換ポイント
- トレンドは頻繁に入れ替わる
- メインの時間足+長期足を捉えたトレードを
- 初心者はトレンドに沿った取引が◎
FX取引において、考え方や手法はたくさんありますが、トレンドとレンジ相場の考え方を取り入れることは非常に重要で基本的な考え方となります。
トレンド・レンジに関してより理解を深めていけばより良いトレードができるはずです。
初心者のうちはトレンドに沿ったトレード、慣れてきたらレンジ相場での逆張りなど自分に合った手法を取り入れて行きましょう。
トレンドを生かした取引をマスターしてから他の中級・上級者向けのトレード手法を試すなど、段階を経て経験を積んでいくことをおすすめします。