FXでスワップ運用をする際には高金利通貨を用いるのが一般的です。
中でもメキシコペソは少額から運用が開始できるおすすめ通貨です。
この記事では、
スワップポイント運用に適したメキシコペソについて、
今後の通貨としての見通しについても併せて紹介します。
そもそもスワップポイント運用とは
メキシコペソをFX投資で利用する際には、
やはりスワップポイントによる運用を無視することはできません。
そもそもこのスワップポイント運用とはどんなものでしょうか。
FXトレードでは、通貨ペアの売買を行なって、
相場の変動を利用した為替差益を獲得するのが一般的な利益獲得方法です。
しかし、FXにはもう一つの利益を得られる手法があり、
それがスワップポイントです。
スワップポイントとは?
取扱う2つの通貨にある金利の差を調整するために発生するポイント
すなわち、
金利が高い通貨を金利が安い通貨で購入
ポジションを持ち越す
→プラスのスワップポイントが得られ、利益
となります。
メキシコペソのような高金利通貨を、
低金利の日本円で購入するポジションを持つことで利益が獲得できます。
例)
メキシコペソ(高金利通貨)を
日本円(低金利通貨)で購入。
ポジション保有→プラススワップポイントで利益
となります。
スワップポイントは、
日々の相場変動を捉えるトレードではなく、
長期的な視点で少しずつ利益を積み上げていく形式です。
そのため
FX初心者でも比較的取り組みやすい人気の取引手法となっています。
メキシコペソの特徴
メキシコペソという通貨にはどんな特徴があるのでしょうか。
アメリカドルやユーロなどをメジャー通貨と呼ぶのに対し、
メキシコペソはマイナー通貨という位置づけになります。
マイナー通貨は、
- メジャー通貨に比べて流動性が低い
- 相場が安定しづらい
という特徴を持ちます。
マイナー通貨の中でも、
メキシコペソ以外にトルコリラや南アフリカランドなどが高金利通貨に挙げられます。
これら高金利通貨は、
それぞれの特徴があるものの、
流動性の低さや相場の不安定さなど共通した特徴を持っています。
その中でも特にメキシコペソに見られる大きな特徴を3つ紹介します。
- 他国の影響を受けやすい
- 原油価格の影響を受ける
- 信用格付けは比較的高い
それではそれぞれ解説していきます。
他国の影響を受けやすい
メキシコペソは、文字通りメキシコで利用されている通貨です。
メキシコは、中南米の中ではブラジルについて第二位の経済規模を誇る国家です。
しかし、自国だけの産業で経済が成り立つことはなく、
他の国家との関連が強いという特徴があります。
そのため、
メキシコ国家の経済状況は、他国の経済活動の影響を強く受けます。
伴って、メキシコペソの通貨相場も他国の影響によって大きく変動します。
特に影響が大きいと考えられているのがアメリカです。
直接的な経済的やり取りが非常に大きいアメリカの経済状況は、
非常に強くメキシコペソの動向に影響を与える点は注意しておきましょう。
原油価格の影響を受ける
メキシコペソは、原油価格の変動に影響を受けます。
メキシコ湾岸では原油が産出されることから、
原油の取扱はメキシコの重要な産業の一つとなっていることが影響しています。
原油価格が下降:メキシコペソも下降
する傾向にあります。
原油価格は、様々な要因で変動するので、
メキシコだけの産出の具合で決まるものではありません。
特に中東エリアでの産出が世界規模で見るとメインになるので、
ひいてはメキシコペソの動向は
中東の経済状況とも深く関連していると考える見方もあります。
メキシコペソを利用したFX運用をする際には、
原油価格の動向も常にチェックしておきましょう。
信用格付けは比較的高い
メキシコペソは、新興国通貨の中では比較的信用格付けが高いことで知られています。
信用格付けとは、格付けを専門に行う企業が公表するもので、
企業や国家の経済状況を勘案して信用度の高さを数値化しているものです。
いくつかの格付け会社がおのおのの基準で格付け結果を公表していますが、
最も有名なS&Pの結果を紹介します。
S&Pでは、ランクをAからCで表現し、
AAAなどAの数が増えれば増えるほど信用度が高いということになります。
S&Pの格付けの結果では、メキシコはBBBとなっています。(2020年実績)
トルコリラ:B+
ブラジル:BB
と比較すると、
メキシコでは比較的格付けが高いことが分かります。
メキシコペソがスワップ運用に適している理由
メキシコペソは、スワップポイントの運用に適していると言われていますが、
その理由はどんなところにあるのでしょうか。
他にもFXではトルコリラや南アフリカランドといった高金利通貨はありますが、
メキシコペソならではのメリットがあります。
証拠金が少ない
スワップ運用に用いる通貨を選択する際の考え方は人それぞれですが、
メキシコペソは初心者から中級上級者まで幅広く利用できるおすすめの通貨です。
メキシコペソをスワップ運用に用いるのが適切である理由を以下に2点紹介します。
高金利通貨
メキシコペソがスワップポイント運用に向いている理由の一つ目は、
高金利通貨である点が挙げられます。
効率よくスワップポイントを貯めていくには、金利が高いことが絶対条件といえます。
2021年6月の実績(外為どっとコムより)では、
- トルコリラ:19.0
- メキシコペソ:4.25
- 南アフリカランド:3.5
となっています。
近年は、主要国のほとんどが低金利政策を採用していることから、
金利を低く設定している通貨が多いです。
昔はオーストラリアドルやニュージーランドドルは
非常に高い金利が維持されていたため、
スワップ運用に用いていた方が多かったのですが、
最近は非常に低い水準が維持されています。
その点、トルコリラやメキシコペソなどは高い金利設定であるため
スワップ運用に向いています。
金利だけ見るとトルコリラのほうがメリットがあるように見えますが、
メキシコペソにはもう一つの大きなメリットがあります。
証拠金が少ない
メキシコペソのスワップ運用に適しているもう一つの要因は、
ポジションを維持するために必要な証拠金の額が少なくて済むことが挙げられます。
例えば、
1,000通貨を保有するために必要な証拠金を考えてみます。
メキシコペソ/日本円の換算レートは
2021年7月現在でおよそ5.5となっています。
日本国内での最大レバレッジである25倍を適用した場合、
およそ300円あればポジションを保有できる計算になります。
例)
1,000通貨保有に必要な証拠金
メキシコペソ/日本円の換算レート:およそ5.5
レバレッジ25倍・・・約300円でポジション保有
小額からポジションを持つことができるのは、
メキシコペソの大きなメリットとなっています。
スワップ運用の場合、複利運用の仕組みが活かせます。
貯めたスワップポイントを元手にポジションを増やし、
さらにスワップポイントを生むという仕組みで、
スワップがスワップを生む非常に効率の良い運用が可能です。
メキシコペソのように証拠金が少なくて済む通貨の場合
さらに複利運用のメリットが活かせるのでおすすめです。
メキシコペソの今後の見通し
スワップポイントは
安定してかつ安全に利益が得られる効率的な運用方法と思われがちですが、
注意すべき点もあります。
例えば、通貨の金利が未来永劫高い水準のままでいる保証はありません。
また、相場が急変してしまう恐れもあります。
スワップポイント運用にとっては、
金利が安定してかつ相場が安定しているのが理想的ですが、
今後メキシコペソはどうなっていくのでしょうか。
メキシコペソの今後の見通しについて、一般的な見解を紹介していきます。
歴史的安値圏からの反発に期待
メキシコペソは、今後相場が上昇していくことが期待されています。
2020年の前半、世界に衝撃を与えた新型コロナウイルスの影響を受け、
メキシコペソは歴史的な安値を記録しました。
メキシコペソと日本円の通貨ペア:4.222を記録
歴代最安値を更新
そのあと反発を見せ、2021年7月現在では5.5程度にまで相場が上昇しています。
2020年以前の安定水準に戻り、
今後も同じ水準で横ばいを維持するのか、
あるいは今後さらに反発の勢いを強め上昇していくのか、
今後の動向が注目されています。
長期的には下落トレンド継続
今後、メキシコペソの相場が上昇する可能性は十分にありますが、
より長いスパンで相場を俯瞰すると、楽観視はできません。
長期的には下落トレンドのさなかにあると考えることもできるためです。
2014年終わり頃に記録した8.710を境に、
長い目で見ると下落途中の段階とも捉えられる
もし下落トレンドが継続していたとすると、
再び4円台の低い水準に戻る可能性も捨てられません。
メキシコペソでスワップ運用をする場合は、
もし4円台の水準にレートが下がったとしても
ロスカットが起こらない程度の余裕を持った資金管理を心がけましょう。
注目すべき経済指標
スワップポイント運用では、
日々の細かな相場変動にはそれほど配慮する必要はありません。
長期的な視点で多少の相場変動が起こってもロスカットが起こらない資金状態であれば、
基本的にトレードすることはなく相場を静観する時間が長くなります。
しかし、今後の相場動向を見通すために、
メキシコペソに関連が深い経済関連の情報は漏れなく押さえておくことをおすすめします。
- 原油価格
- 英国雇用統計
- メキシコGDP成長率
将来的にメキシコペソの価値が下がるかもしれないニュースが発せられた場合には、
運用方針を見直すべきタイミングとなるかもしれません。
日常の相場変動に配慮する必要がない代わりに、
大きな経済情勢の流れをつかむことは怠らないようにしましょう。
メキシコペソの見通しをする際に
最低限押さえておくべき注目の経済指標を解説してきます。
原油価格
前述のように、メキシコペソは原油価格の変動に強い相関性を持っています。
原油価格が下降→メキシコペソの価値も下がる
原油価格の動向は、毎日のニュースや新聞の経済欄に掲載されているので、
定期的にチェックすることをおすすめします。
原油価格は状況によっては激しい値動きを見せることがあるので、
不安定な状況になった時に連動して
メキシコペソも不安定な値動きを起こす可能性があるので、注意してチェックしましょう。
米国雇用統計
メキシコは、アメリカの経済情勢に非常に影響を受けやすいです。
そのため、アメリカの経済指標の中でも
もっとも重視されている米国雇用統計の内容は常にチェックしておく必要があります。
米国雇用統計は、
アメリカ国内の雇用に関する情報を公開するもので、
月に一回、上旬に発表されます。
アメリカの経済を左右する重要な指標であるがゆえに、
世界各国の経済に与える影響も大きいです。
メキシコに対する影響度も非常に高いので、
毎月の発表前後の相場動向には気を配る必要があります。
メキシコGDP成長率
メキシコペソは、周囲の情勢に影響を受けやすいとはいえ、
やはりメキシコ国内の経済情勢も見逃すわけにはいきません。
メキシコの経済情勢を最も端的に表現する指標としては、
メキシコGDP成長率は欠かせません。
GDP(国内総生産)とは?
一定期間内に国内で生み出された付加価値のこと
経済の発展の度合いを測る指標となる
メキシコGDP成長率が上昇していれば、
それに伴ってメキシコペソの価値も上昇する傾向にあります。
両者は強い相関関係を見せる傾向があるので、
メキシコペソを利用した資産運用をする際には
メキシコGDP成長率は必ずチェックしておくべき経済指標といえます。
まとめ
以上、メキシコペソをFX運用で利用することについて解説をしてきました。
メキシコペソは、世界的にも高い金利を維持している通貨で、
スワップ運用に適しています。
換算レートが低水準なので、
必要保証金が少なくて済むこともスワップ運用に向いた通貨とされています。
比較的格付けは高く信頼性はありますが、
相場が不安定になる恐れもあるので、
資産管理を怠らず常に余裕のある状態で資産運用することを心がけましょう。