「ストキャスティクスで勝てない」と嘆くFX初心者は多いでしょう。
ストキャスティクスで「買われすぎ」「売られすぎ」を判断して逆張りしているのに、トレンドが発生して損失が出るなど、FX初心者を悩ませると思います。
この記事では、FX初心者を悩ませるストキャスティクスの本当の判断方法を紹介します。
ストキャスティクスの「買われすぎ」を判断する
FX取引をする際、インジケーターで『ストキャスティクス』を利用する場合があります。
ストキャスティクスとは?
一定期間内の価格帯の中で最高値や最低値と比較して、
現在のレートがどの位置にあるかを判断するためのツール
実際に利用してみると「騙し」が多く勝てる手法が見つからないと考えてしまう人も多いのではないでしょうか。
ストキャスティクスで騙しが多く発生するのは、「確かな知識をもったトレーダーがチャートを操作しているからだ」と感じる場合もあるでしょう。
ストキャスティクスは「騙し」が多いインジケーターの1つですが、使えないインジケーターかと言われると、そうではありません。
FX初心者はストキャスティクスを正確に理解できていないため、誤解している可能性があります。
本記事では「ストキャスティクス」の意味を明確に考え、勝てるトレードルールを作るための手助けをします。本記事を参考に、今一度トレードルールを見直すきっかけにしてみてください。
ストキャスティクスとは?
実際にトレードで活かせるようにストキャスティクスを理解するためには、基本から学ぶ必要があります。
ストキャスティクスとは、何でしょうか。
1950年代、ジョージ・レーンにより
「一定期間の変動幅の中で、どの程度の強さ・弱さなのかを見極める」ための方法として考案されました。
一般的な使用方法は以下の通りです。
- %Kと%Dが共に、20%以下で推移している場合、
%Kが%Dを下から上に突き抜けたときに「買い」を入れる - %Kと%Dが共に、80%以上で推移している場合、
%Kが%Dを上から下に突き抜けたときに「売り」を入れる
この取引方法は、最も基本となるストキャスティクスの使用方法です。
ストキャスティクスで判断できる内容が「買われすぎ」や「売られすぎ」を判断しているのは事実ですし、使用方法として「間違い」とは言えません。
しかし、上記の取引方法で勝ち続けられるトレーダーは1人もいないはずです。
基本を踏まえた上で、
ストキャスティクスに含まれる「%K」「%D」「SD(Slow%D)」を正しく理解し、チャート上で工夫して使用できるようにならなければいけません。
ストキャスティクス「%K」とは?
「%K」とは、以下の式で計算される数値です。
%K=(当日終値-過去n日間の最安値)÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)×100
「n日間」とは、使用する際にトレーダーが入力する日数で定められます。
デフォルトでは14日や9日、5日などが入力されていることが多いでしょう。
簡単に述べれば、「過去n本のローソク足のうちで現在の値が何%に位置しているかを表している」と考えていただければよいでしょう。
ストキャスティクス「%D」とは?
「%D」は、以下の計算式で求められる数値です。
%D={(最新の終値-過去n日間の最安値)のm日間の合計}÷{(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)のm日間の合計}×100
「m日間」は、通常3日間を指しますが、トレーダーの判断で変更も可能でしょう。
わかりやすく述べれば、「%Kのm日間での平均」と考えてください。
ストキャスティクス「SD(Slow%D)」とは?
「SD(Slow%D)」は、「%Dの平均値」です。
通常、3日間の平均値のことを指しますが、設定によりトレーダーが変更することがあります。
ストキャスティクス基本の考え方
上記のとおり「%K」は計算式で求められ、その数値を元に平均を出していくのがストキャスティクスです。
前述のトレードは、「新しい数値が平均をクロスする」ことを考えた取引方法で、レンジ相場であれば活躍できる手法です。
しかし、トレンドが発生しているチャートでは以下の理由で意味を成しません。
- 上昇トレンドの場合、常に最新値が最高値になる
- 下降トレンドの場合、常に最新値が最安値になる
つまり、計算上では3種類の全てが100をキープする場合もあれば、0をキープする場合もあります。
FX初心者は「%K」が「%D」をクロスするタイミングだけを狙っている場合が多く、トレンドが発生した状況に対応できていないため「騙し」と感じます。
また、ストキャスティクスは、「レンジ相場で使用する」という前提条件を忘れている場合もあるのではないでしょうか。
ストキャスティクスの「買われすぎ」とは?
そもそも「買われすぎ」とは、どういう意味でしょうか。
ストキャスティクスを理解するために、日常生活に置き換えてイメージしてみましょう。
例えば、2020年には新型コロナの流行によりマスクが「買われすぎ状態」になりました。同年、漫画「鬼滅の刃」も最新刊がでれば即完売などの「買われすぎ状態」を肌で感じたのではないでしょうか。
「買われすぎ状態」になった商品は、「値段が下がった」のでしょうか。
いえ、実際には値段は高騰し、転売サイトなどでは異常な値段を記録したはずです。
病む終えず、国が対応策を講じるようになり値段が落ち着いたのを、実際に体験した人は多いでしょう。
さて、「ストキャスティクス」の数値が80を上回り「買われすぎ」と言われるような状態になったとき、トレーダーはどう考えているのでしょうか。
FX初心者は「下がる」と考えていますが、日常生活に置き換えると「上がる可能性が高い」と感じるのではないでしょうか。
つまり、ストキャスティクスでの買われすぎや売られすぎは、参考にすべきものであり「確実に起こる事象ではない」と考えるほうが良いでしょう。
以下には、一般的な「買われすぎ」「売られすぎ」の判断材料になる数値をお伝えします。
「買われすぎ」の判断方法
イメージを掴むために、実際のチャート画面を見ながら説明していきます。
以下の図は、ユーロ/米ドルの1分足にストキャスティクスを表示させたものです。
基本設定である「%K」=5、「%D」=3、「SD」=3で表示しています。
図中の青い四角部分を見てください。
「%K」の数値も「%D」の数値も80以上で推移しており、クロスしています。
FX初心者が「売り」を入れる場面であり、図中のチャートを見ていただいても価格は下降しています。
基本的なトレード方法で勝てている場面であり、多くのFX初心者を勘違いに導く可能性が高い部分です。
「売られすぎ」の判断方法
買われすぎと同様に売られすぎも見ていきましょう。以下にもユーロ/米ドルの「勝てるチャート」を表示させました。
ストキャスティクスの数値が20以下で推移しており、クロスしています。実際にチャートを見ても、その後上昇しているため「勝てているチャート」であるのがわかります。
「売られすぎ」と判断されるのは、ストキャスティクスの数値が20以下の場合です。
基本で勝てないチャート
同じユーロ/米ドルのチャート内でも勝てないと判断できるものがあります。以下の図の青い四角部分をご覧ください。
ストキャスティクスの数値が20を下回っているにもかかわらず、チャートは反転せず下降を続けています。
下降トレンドが発生している状態であり、FX初心者は「買い」を入れているため勝てません。しかも、1分足チャートでスキャルピングトレードを考えている人の場合、ストキャスティクスは上記の図のような場合には2,3回ほど見た目にはクロスしたはずです。
前述の計算式を見れば理解できるように、ストキャスティクスには「現在の値」が含まれます。しかし、現在の値は常に変化し続けているため、FX初心者だけでなく中級者でも判断が難しいタイミングでしょう。
では、本当はどんな取引方法が良いのでしょうか。
以下に勝てるトレード方法を紹介します。
ストキャスティクスの基本取引方法
一般的に出回っているクロス取引ではなく、ストキャスティクスの「トレンド」を把握すると勝率は格段に上がります。
そもそも考案者であるジョージ・レーンは以下のような取引を推奨していたはずです。
下の図をご覧ください。
ユーロ/米ドルの1分足チャートで、設定は変えずにストキャスティクスを表示しています。
図中のチャートは、
上昇トレンドから下降トレンドへ変化するタイミングのものです。
【上昇→下降トレンド】
ストキャスティクス20以上の部分で
クロスした2点をトレンドラインで結ぶと・・・
赤いラインが右下へ向かって伸びている
=「買われすぎ状態」の度合いが下がっている状態
つまり、「買われすぎ状態」のチャートに対し、
何らかの反対勢力が働き、
トレンドを終焉させる力が生まれている状態
↓
そのため、変化が確定する「白い縦線」のローソク足で「売り」を入れる
トレンドが終焉する条件は「ダウ理論」を学ぶ必要がありますが、
ストキャスティクスでも同じ理論を採用した取引方法です。
赤い線がスタートした部分でも「ストキャスティクスのクロス」は見られますが、過去のクロス部分と比較すると「上昇している」ため、白い縦線部分まで待ちます。
単に「クロス」だけを意識しているのではなく、トレンドの向きを考えた取引方法ですので、勝率は格段に上昇するでしょう。
ストキャスティクス「騙し回避」方法
ストキャスティクスを利用するうえで「全ての騙しを回避する」ことはできません。
どんなチャートでも騙しは存在しますし、完璧に回避するのは不可能です。
しかし、騙しに合うたびに頭を抱え込んでいては、メンタルを維持するのも困難です。
そのため、可能な限り「騙し」を回避するための考え方を紹介します。
長時間足を利用する
FX取引において「上位の時間足でトレンドを確認する」のは常識のようなものです。
1分足でトレードしている人であれば、5分足や15分足を参考にします。
1時間足でトレードしている場合では、4時間足や8時間足、日足を参考にしましょう。
上位足のトレンドを確認すれば、現在の流れを踏まえて取引ができるようになります。
仮に、1分足トレードを主に行っている場合、5分足を見て下降トレンドがあると判断したとします。1分足で注文を入れる際、売りを中心にするのは当然と言えるでしょう。
上位足の流れを見て注文の方向を決めます。そのうえで、ストキャスティクスを確認しながら実際に注文するようにしてみてください。
これまで騙しと感じていたタイミングが、驚くほど回避できるようになります。
他のインジケーターと組み合わせる
多くのトレーダーがストキャスティクスを利用する際、「単体」では利用していないことが多いのではないでしょうか。
例えば、以下のような組み合わせがあります。
- ストキャスティクス+MACD
- ストキャスティクス+ADX
- ストキャスティクス+移動平均線
取引タイミングをストキャスティクスで伺いながら、トレンドを把握できるインジケーターを利用する場合が多いでしょう。
闇雲にクロスだけを狙うのではなく「トレンドに合わせたクロス」を狙います。
騙しを回避できるだけでなく、大きな利益を期待できるようになるため工夫しているトレーダーが多いはずです。
まとめ
ここまでストキャスティクスについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ストキャスティクスは「買われすぎ」や「売られすぎ」を判断するための参考になるインジケーターです。しかし、日常生活で考えればわかるように「上がったから下がる」と思い込むのは勘違いです。
- 買われすぎ=80を上回る
- 売られすぎ=20を下回る
- ストキャスティクスの基本の取引方法
- 重要なのは「上昇した価格が、なぜ下がるか」などの”根拠”の部分
- 上位足や他インジケーターと組み合わせて騙し回避
ストキャスティクスで「買われすぎ」と判断できた場合、その後のチャートが「下降する根拠」を探すように工夫してみてください。
「騙し」を回避できるようになるだけでなく、想像以上に大きな利益を生み出せるトレードスタイルが身に付きます。
ストキャスティクスには、大きな可能性が秘められているため、自分のトレードルールを見直すきっかけにしていただければ幸いです。