FXは、資産運用であるため、獲得した利益に対して税金がかかります。
FXにより発生する税金はどれくらいでしょうか。
また、少しでも税負担を少なくするための節税の方法はどれくらいでしょうか。
この記事ではFXの利益にかかる税金や節税の方法について紹介します。
FXで利益を獲得する仕組み
FXに限らず資産運用を行なって利益を獲得すれば、
基本的には税金負担をする必要があります。
まず、FXで利益が生まれる仕組みについて解説をします。
FXで利益を得る方法は、2種類あります。
スワップポイント
まず1つ目は、売買を行うことによる為替差益を獲得する方法です。
ある通貨の買いポジションを持ち、
その外国為替相場が上昇してから売れば、
為替差益が計上され利益を獲得します。
2つ目は、スワップポイントです。
通貨間の金利差を調整する仕組みで、
高金利通貨を金利が低い通貨で購入するポジションを持つと得られます。
銀行預金の利息と同じ感覚で積み上げていくことができます。
これらにより獲得した利益に対し、一定のルールにのっとって税金が課せられます。
FXの利益にかかる税金
FXの利益に対し、どんな税金がかかるのでしょうか。
FXに限らず、基本的に資産運用を行なった結果発生する税金はどれも同じです。
FXによる利益を考える際に、
- どれくらいの税金負担が発生するか
- 残りの利益がどれくらいになるのか
をある程度掴んでおくことは重要です。
FXの利益にかかる税金は大きく分けて
- 所得税
- 住民税
の2つです。
FXで稼いだ利益だけに注目していて、
税金の額を把握していないと、後で困ることになります。
所得税
利益に対する税金といえば、所得税を連想する方も多いのではないでしょうか。
利益にかかる税金の代表例として所得税があります。
所得税とは?
自身で申告をして納税をする直接税。国税のひとつ。
所得税は、
所得の項目が分類されていて、それぞれに計算方法が用意されています。
- 会社員として働き得た給料は給与所得
- 不動産投資により得た所得は不動産所得
といったように分類されています。
FXで得た利益から税金負担を減らし、
少しでも節税効果を得たい場合は、
所得税の計算方法をしっかりと理解することが必須の条件となります。
住民税
FXの利益に対して付加される税金には、所得税以外に住民税もあります。
住民税とは?
住民票のある市区町村に対して納める直接税
自身で申告する必要はなく、所得税を申告すれば、
申告先の税務署から市区町村に対し情報が連携されます。
所得税のような細かい所得の分類はなく、
年間の所得合計額をベースに税額が計算されます。
所得税については意識があるものの、
住民税に対してはあまり意識をしない方も多いですが、
利益に対して付加されることに変わりはないので、利益の試算をする際には必ず加算して考えるようにしましょう。
FXの利益に対する税金の納税方法
FXで得た利益に対して付加される税金は、どのように納税するのでしょうか。
証券系の口座には様々な種類があり、
例えば株式投資において
「特定口座」を利用すれば、自身で申告する必要がなく証券会社側が源泉徴収を行ってくれて代わりに納税を行ってくれます。
しかし、FXにはそのような便利な口座がないため、
自身で手続きをとる必要があります。
FXの場合、自分で納税手続きが必要
税金の納税手続きは、普通の会社員においてはなじみのない方が多く、
最初は戸惑うことも多いですが、
慣れると違和感なく手続きを進めることができるので、
一つずつ確実に理解を深め、正しく手続きをしてください。
確定申告にて雑所得として
FXで得た利益に対する税金は、確定申告という手続きで納税を行うことになります。
確定申告とは
一年間に得た所得を計算し、
それに見合う税額を自身で算出して納税する手続きのこと
会社員の場合は、会社側で年末調整という形で手続きをしてくれるので、
自身で確定申告をする機会のない方も多いです。
確定申告における所得の分類は、『雑所得』になります。
雑所得は、FXの他には年金による所得や原稿料などが該当します。
確定申告をして所得税を算出して納税を行い、
自動的に住民税の計算を市区町村が行ってくれます。
会社員の方々にとってなじみのないという方も多い確定申告が、
FXにおける税金納税の方法となります。
確定申告が必要となる基準
FXで利益が出たからといって、必ず確定申告をする義務が生じるわけではありません。
確定申告が必要になる所得の基準としては、
専業主婦など無職の方は38万円、
会社員など副業でFXを行っている方は20万円とされています。
注意するべきは、利益額ではなく所得がベースとなる点です。
例えば、サラリーマンの方で、FXで得られた一年間の利益が21万円であった方は、
このままだと確定申告をする義務がありますが、
FXトレードを行うためのインターネット利用料が2万円だった場合、
所得は21-2=19万円となり、
確定申告の義務がないことになります。
確定申告をしないといけない基準をしっかりと理解し、
申告が必要になった時には忘れずに対応しましょう。
FXでの所得にかかる税率
FXで得た所得にかかる税金の税率は、どれくらいの割合なのでしょうか。
所得税・・・『累進課税』
所得額が増えるごとに税率も高まっていく
FX所得・・・『分離課税』
一律の税率採用
20%(2037年まで復興特別所得税が含まれ、20.315%となる)
がすべてのトレーダーに採用されます。
一方、住民税は名目上では市区町村によって定められた税率とされていますが、
実質的には一律10%の税率が採用されています。
これらを合算すると、
FXで得た利益のおよそ3割程度が税金として徴収されてしまうという計算になります。
FXの利益を試算する際には、影響が大きい重要な要素と言えます。
FXの損益を使って節税をする
FXでせっかく獲得した利益を税金として徴収されてしまうのはもったいないと感じる方も多いかもしれません。
ただ、所定の所得金額を超過すると、
確定申告をする義務が生じ、もし申告をしないと追徴課税などさらに負担が大きくなってしまいます。
少しでも税金の負担を軽減するために、
有利に節税できる方法があるなら、最大限に活用しましょう。
合法の範囲で、できるだけ負担を軽減する方法を活用することで、
効率の良い資産運用につなげることができます。
今回は、FXの税金負担を少しでも軽減するための節税方法について紹介をします。
経費計上
3年間の繰越控除
夫婦でそれぞれ口座を作る
活用できる方はぜひ最大限に利用してみてください。
経費計上
FXでは、獲得した利益から所定の経費を差し引いて所得を計算し、
この所得金額に対して一律の所得税率を乗じて税金額を算出します。
すなわち、可能な限り多くの項目を経費として申告して所得を減らすことができれば、
節税効果を享受することができます。
FXにおいて経費に計上できる項目はそれほど多くありませんが、
可能な限り算入して所得を減らしていきましょう。
FXにおける経費項目の代表例としては、
セミナー参加費用(交通費もOK)
トレードに利用しているインターネット通信料金
などがあります。
他にも、トレードに利用するパソコン代金や、
トレードを行なう部屋の光熱費なども含めてもよい可能性がありますが、
FX限定でかかっている費用かどうかを証明するのが難しいため、
判定は微妙な部分があります。
経費に加えてよい項目かどうか判断が難しい場合は、
税務署に相談をして決めることをおすすめします。
3年間の繰越控除
FXで得た所得に対して税金が課せられますが、
逆に1年間累計のトレードで損失が超過した場合はどうなるのでしょうか。
損失過多となった場合は、確定申告をする必要はありませんが、
確定申告をした方が翌年度以降の節税対策として生かすことができます。
FXで発生した損失は、
確定申告において所定の手続きをすることで、
3年間繰越して所得から控除することが可能
例えば、
ある年度で30万円の損失をFXで被った場合、
確定申告をして繰越控除の申請をすれば、
翌年度に25万円の所得を稼いだとしても、
繰り越した損失で所得を相殺し、税負担をしなくて済むようにできます。
さらに5万円は次年度に繰越することができます。
確定申告は、利益を獲得した年にするだけではなく、
損失がおおきくなった年にも実行することで節税効果を得られるので、
もれなく対処することをおすすめします。
夫婦でそれぞれ口座を作る
もし配偶者がいる場合は、
夫婦それぞれの名義でFX用の口座を開設してトレードをすることで、
節税につながるケースがあります。
例)
会社員の夫と専業主婦の妻の家庭で
FXで50万の所得が出た場合・・・
【夫のみの口座で50万円の所得】
→確定申告をして納税
【夫の口座で18万円、妻の口座で32万円の所得】
→確定申告の義務はなし
(それぞれの所得額が確定申告の義務が発生金額を下回っている)
例えば、会社員の夫と専業主婦の妻の家庭を想定して、
仮に夫一人の口座で50万円の所得を稼いだ場合は
もちろん確定申告をして税金を納める必要があります。
しかし、
仮に夫の口座で18万円、
妻の口座で32万円の所得を獲得した場合、
それぞれの確定申告の義務が発生する金額を下回っているため、
合算の所得額では同じであっても、確定申告をする義務はないことになります。
夫が妻の口座を使ってトレードをすることは違反行為ですが、
二人でアドバイスしながらお互いの口座でバランスよく利益を積み上げていくことは、
違反にはなりません。
協力して資産形成をするという意味で、
家庭関係の面でもメリットのある運用方法と言えます。
海外FX会社で獲得した利益と税金
ここまで、国内のFX会社を利用した場合の税金関係について紹介をしてきましたが、
海外FX会社を利用したときの税金はどのようになるのでしょうか。
もちろん、海外FXを利用して得た利益に対しても所得税と住民税は加算されます。
海外FX会社で得た利益だから申告しなくてもばれないと考えるのは非常に危険で、
違反行為になりますので、確実に確定申告をしておきましょう。
ただ、海外FX会社を利用して得た所得に対しては、
国内FX会社で得た所得に対する税金算出方法とは異なる面がいくつかあります。
海外FX会社を利用する方は、
税金面での申告内容の違いをしっかりと理解し、
誤りのない確定申告をするように心がけましょう。
国内FXとの違い
海外FX会社で得る所得と国内FX会社で得る所得との、
税制面での大きな違いは、
国内FXの場合:申告分離課税
の扱いになる点が挙げられます。
申告分離課税は、前述したようにFXの所得に対して一律の税率が用いられる方式で、
他の所得金額がどうであれ関係はありません。
一方、総合課税は他の所得と合算して累計の所得額を算出し、
その金額に見合った税率が採用される方式になります。
このため、FX以外の所得額が大きい方は、
伴ってFXの利益にかかる税金額も大きくなり、
ひいては税負担が大きくなってしまうというデメリットがあります。
逆に他の所得額が少なければ、税率が低く設定され、
ひいてはFXの所得にかかる税金負担も軽減されることがあります。
すなわち、海外FXを利用した場合は、
他の所得金額の規模によって税負担が左右されるという特徴があります。
国内FX会社の利益に採用されている申告分離課税とは大きく異なる点です。
海外FXで節税をする方法
国内FXでの所得にはない、海外FXでの損益ならではの節税方法があります。
それは、他の雑所得との損益通算の活用です。
国内FX会社で発生した損失は、
他の所得とは全く分離して計算されますが、
海外FXで発生した損失の場合は、雑所得に限り他の所得内容と損益を通算することができます。
例えば、
年金受給者で300万円の年金を受給した方が、
海外FXのトレードで30万円の損失を計上してしまった場合どうなるでしょうか。
確定申告をすることで、
300-30=270万円の所得として申告することができ、
結果的に300万円の年金所得を圧縮して申告し、
節税効果を享受することができることになります。
例)
年金受給者:年間300万円の年金を受給
海外FXで30万円の損失を計上
【確定申告した場合】
300-30=270万円
→270万円の所得として申告OK
結果、節税効果を享受できる
海外FX会社を利用してトレードをする場合は、
国内FXの所得にはない特徴を生かして、
少しでも税負担を軽減できるように最大限に活用していきましょう。
まとめ
以上、FXにおける節税対策の方法を紹介してきました。
せっかくFXで利益を得ても税負担が大きくなってしまってはもったいないです。
可能な限り節税対策を採用して、税金の負担を軽減しましょう。
海外FXを利用する場合でも、利用できる節税対策はあるので、
できる限りお得な運用をして効率の良い資産運用を目指しましょう。