数あるFXのテクニカル分析の中で、
パラボリックを好んで利用する方も少なくありません。
パラボリックを活用することで、トレードチャンスを際限なく生み出すことができます。
この記事では、パラボリックのメリットと注意点を紹介します。
パラボリックとは?
パラボリックとは、正式名称が「パラボリックSAR」といいます。
通称としては、短縮してパラボリック、
あるいはSARと呼ばれることが多いテクニカル分析手法です。
投資の分析において非常に有名な、
J.W.ワイルダー氏が生み出したとされる分析手法です。
J.W.ワイルダー氏は、パラボリックのほかに、
RSIやDMIなどのメジャーな分析手法を編み出して公開してきた実績のある著名人です。
ローソク足の周辺に描かれる点の描写が個性的な分析手法で、
現在でも多くのトレーダーが実際のFXトレードにおいて指標としながらトレードに生かしている人気のある分析手法となっています。
ドテン買い・ドテン売りに効果を発揮
パラボリックは、
いわゆるドテン買い・ドテン売りのスタイルを活用する際に効果を発揮する分析手法です。
ドテン買いとは、
保有している売りポジションを決済すると同時に買いのポジションを注文する方法です。
ドテン買いとは?
保有している売りポジションを決済すると同時に
買いのポジションを注文する方法
逆にドテン売りとは、
保有している買いポジションを決済すると同時に売りのポジションを注文する方法です。
ドテン売りとは?
保有している買いポジションを決済すると同時に
売りのポジションを注文する方法
すなわち、ドテンとは
保有するポジションの決済ポイントと、
新しい逆向きのポジションを注文するポイントが同時に行われる手法のことです。
ドテン買い・ドテン売りがうまく相場にはまれば、繰り返し利益を獲得していける、
非常に効率の良い手法といえます。
外国為替相場は、一定のトレンドを持つ中でも常に上下動を繰り返しながら推移していく性質があるため、理にかなっている手法かもしれません。
パラボリックは、
ドテン買い・ドテン売りのポイントを明示してくれる実践的な分析手法です。
パラボリックの計算方法
パラボリックを描くための計算方法は、かなり複雑で難解な内容になっています。
計算方法を理解しなくても、分析手法自体の性質を理解しておけば、
問題なく活用することはできます。
ただ、計算式の中身に触れることで、
分析手法のことをより深く知ることができるので、
雰囲気に触れておくだけでも良い効果が期待できます。
パラボリックの計算方法は、以下になります。
(EPー前日のSAR)×AF+前日のSAR
EPとは「極大値」のこと
前日までの最高値あるいは最安値のことを指します。
AFとは「加速因子」のこと
パラボリックの感度を決める指数で0.02~0.2で指定されます。
計算結果一つごとに点がひとつずつ描かれ、点の感覚が相場の強さを表現します。
パラボリックのメリット
FXトレードに用いるテクニカル分析は、数多く用意されています。
そのすべてに言えることですが、
それぞれメリットとデメリットが必ずあります。
いかに優秀な分析手法といっても、良い結果を提示できない相場の場面は必ず訪れます。
メリットとデメリットを総合的に理解して、
自分のトレードスタイルに合った分析手法を活用することが重要になります。
パラボリックの分析手法にももちろんメリットとデメリットがあります。
代表的なメリットは以下の2つが挙げられます。
トレンドの転換点を見つけやすい
分析手法の性質を総合的に理解して、FXトレードに生かしていきましょう。
トレンド相場で使いやすい
パラボリックは、トレンド相場で非常に使いやすく、効果を発揮します。
トレンド相場の中でも相場は上下しますが、
その上下の天井と底で繰り返しドテンの売り買いを継続することで繰り返し利益を積み重ねていくことができる手法です。
パラボリックが描く点の描写によって、
ドテン売買を行うべきポイントが明確に示されます。
すなわち、ローソク足の下にある買いシグナルの点が、
ローソク足の上部に表示され売りシグナルに変化したときが、
売り決済及びドテン買いのポイントとなります。
パラボリックが描く点の位置が変わるため、
一目で売買のシグナルを判断することができる、
わかりやすいシグナルを提供してくれる分析手法です。
トレンドの強さを点の間の距離で推測できる
パラボリックが描く点と点の間隔が広いときは、
そのトレンドが強い状態であることを示しています。
そのため、間隔が広いときはポジションを継続して、
狭まってきたころにトレンドの転換が訪れると心づもりをすることができます。
トレンド相場においては、
パラボリックが描く点の指標が非常にわかりやすく、
明確に売り買いのシグナルを示してくれます。
トレンド相場の場合は、素直にパラボリックが示すシグナル通りに売買をすれば、
勝率が高くなることが多くなり、おすすめです。
トレンドの転換点を見つけやすい
パラボリックは、トレンドの転換点を明確に示してくれます。
トレンド相場の場合、点の位置がローソク足から見て明らかに変化します。
ローソク足の上に合った点が下に移った時は、
明確なドテン買いのチャンスととらえることができます。
視覚的に売り買いのポイントが見出しやすくなっており、
しかもドテンでの売り買いを繰り返すことができるので、
非常に効率よくトレードを展開することができます。
パラボリックの注意点
パラボリックの分析手法としてのメリットを紹介しましたが、
やはりデメリットもあります。
すべての相場状況で適切に売買サインを出せるテクニカル分析を見つけることは難しいです。
他のテクニカル分析と組み合わせるなどして、
デメリットを補いながら分析手法を活用していくのが基本的な活用方法です。
パラボリックを利用する際の注意点について紹介します。
中級者以上の方向け レンジ相場だとダマシが多くなる
レンジ相場だとダマシが多くなる
パラボリックは、
トレンドが発生している相場の場合には明確な売買サインを提示してくれて、
しかもドテン売買が正確に実行できるとても有能なテクニカル分析です。
しかし、レンジ相場だとその効果が発揮されなくなってしまいます。
レンジ相場の場合は、頻繁にパラボリックの点が上下に移動してしまいます。
頻繁に売買サインが表示されてしまい、
すぐに相場が反転してしまってうまく相場に乗ることができなくなってしまいます。
レンジ相場となっているときには、
パラボリックの指標ではなく他のテクニカル分析と組み合わせながら売買のポイントを見つけるように切り替えてトレードをすることをおすすめします。
レンジ相場の場合にはパラボリックの利用には注意する必要があります。
中級者以上の方向け
パラボリックは、一見トレンド転換点を明確に示してくれるので、
初心者でも簡単にエントリーポイントが見つけられると思われがちです。
しかし、
- 相場の状況を把握して、トレンド相場orレンジ相場を判断
- ダマシに気づいたときに、即座に損切り判断
を求められるため、
どちらかといえば中級者以上の方向けの分析手法と考えるべきです。
パラボリックのエントリーポイントだけを信じてトレードをすると、
特にレンジ相場のときのダマシに対応できなくなるので、
できるだけパラボリックの欠点を補ってくれるテクニカル分析を組み合わせてトレードをすることをおすすめします。
パラボリックの活用例
パラボリックの特徴をつかんだうえで、
実際のトレードで生かす際の活用方法を提示して紹介します。
基本的には、トレンドの転換となる底値、天井の位置で売買を行うのが一般的ですが、
実際のトレードにおいてはもう少しアレンジして活用することで
より成功率を高めて安定したトレードを展開することができます。
パラボリックが示すシグナルだけに頼るのではなく、
全体の相場の状況をつかみながらトレードをすることで、
どんな場面にも対応できる応用力が身についていきます。
パラボリックのメリットを大いに生かすために、工夫してFXトレードに臨みましょう。
トレンド転換直後にエントリーしない
パラボリックの点の位置が変わり、トレンド転換が示されたら、
すぐにエントリーしたいと思うところですが、
ダマシの可能性を疑って
少し待ってからトレンド転換を確認したのちにエントリーをした方が
安定して利益を積み上げることができます。
トレンド転換後すぐにエントリーするよりも利益の幅は狭くなりますが、
ダマシを回避するためには有効な手段となります。
具体的には、点の位置が変わってトレンド転換が示されてから、
2~3つの点が描かれるのを待って、トレンドを確認してからエントリーする、
あるいは点の間隔が広くなってトレンドが発生したことを明確に確認してからエントリーする、などといった対応が理想的です。
利益の大きさを追求する場合には適切ではありませんが、
ダマシの可能性を排除してから確実にエントリーしたい場合は、
トレンド転換後すぐにエントリーせず少し待つという対応が理想的です。
長めの時間足でトレンドをつかみ短い時間足でエントリーサインをチェック
パラボリックを利用する際は、
1~4時間など長時間足のチャートを表示してトレンドの方向つかむ
↓
1~5分など短時間足のチャートでパラボリックのシグナル活用
↓
エントリー及び決済
の順番で行うのが理想的です。
例)
長めの時間足のチャートで上昇トレンドであることを確認できた場合・・・
買いエントリーの後
→少し長めにポジションを持ち、利益を伸ばす
売りエントリーの後
→早めに利益確定をして、リスクを減らす
長い時間足でレンジ相場を確認した場合は、
パラボリックの指標でトレードをしないか、
早めに利確や損切を実行して損失リスクを限定的にするなどの対処法が考えられます。
利益確定ポイント
パラボリックの分析手法では、エントリーをした後の利確のポイントの目安をあらかじめ見つけることができます。
利確をする適切なタイミングとは、エントリーをした位置と、
その一つ前に同じ方向のシグナルが発生した位置との幅です。
例えば、USD/JPYの通貨ペアで、
100円の相場で買いシグナルが発生していたとします。
その後102円の相場で買いシグナルが再び発生したとしたら、
2回のシグナルの幅である2円が目安となり、
102円でエントリーした場合の利確目安は104円ということになります。
パラボリックのエントリーサインを使って、
通常判断が難しい利確のポイントをつかむことができます。
相性の良いテクニカル分析
パラボリックの分析手法は非常にわかりやすく判断がしやすい手法ですが、パラボリックで発せられるエントリーサインだけを信じてトレードをするのは、
状況によってダマシに遭ってしまうリスクが高くなってしまいます。
他のテクニカル分析と組み合わせてトレードをすることで、
信頼性を高めながら安定したトレードを展開することができるようになります。
パラボリックと相性の良いテクニカル分析は、移動平均線など様々考えられますが、
今回はボリンジャーバンドとの相性について紹介をします。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、
相場の傾向を標準偏差で考えて、売られすぎや買われすぎの水準をバンドと呼ばれる曲線で描く分析手法です。
ボリンジャーバンドとは?
相場の傾向を標準偏差で考えて、
売られすぎや買われすぎの水準をバンドと呼ばれる曲線で描く分析手法
バンドのセンターラインのどちらか一方でローソク足が推移していれば、
トレンドが発生していると判断できます。
→上昇トレンド
センターラインのマイナス側(下部)
→下降トレンド
と判断できます。
トレンドの場合・・・
パラボリックのトレンド転換ポイントをメインにエントリーと決済をします。
レンジ相場の場合・・・
パラボリックは機能をしなくなるため
ボリンジャーバンドを用いて逆指値のトレードを展開することができます。
パラボリックが描く点の間隔が狭くなってきたら・・・
レンジ相場が終わりトレンドが発生することの予見とみなせるので、
注視しながらトレードします。
まとめ
以上、パラボリックの分析手法について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
トレンド相場では非常に効果を発揮し、
明確でわかりやすいエントリーポイントを示してくれる分析手法ですが、
レンジ相場のときにはダマシが増えてしまうので、
ボリンジャーバンドなど他のテクニカル分析を組み合わせてトレードを展開することをおすすめします。