FXのトレンド相場では、
さらに上昇(下降)を継続するために注文を溜める「調整局面」が発生します。
そして今回解説するのは、
そういった場面で出現するフラッグと呼ばれるチャートパターンです。
攻略できれば大きく利益を伸ばせる可能性があるのでぜひ参考にしてください。
チャートに現れるフラッグとは
FXチャートではトレンドが発生している最中に逆方向への圧力が発生して価格が揉み合うことがあり、
この際に現れるチャートの形状を『フラッグ』と呼びます。
フラッグとは?
FXチャートでトレンド発生中に逆方向への圧力が発生して価格が揉み合う事
トレンド相場においては、
フラッグを発見して適切にエントリーすることが重要となります。
ここではまずフラッグの詳細を見ていきましょう。
フラッグと呼ばれる由来
フラッグという名前の由来はシンプルにその形状にあります。
以下は上昇トレンドの際に出現する上昇フラッグの参考画像です。
短期的なレンジ相場を作って
ブレイク後にトレンドが継続
していることが分かります。
この形状がフラッグ(旗)に似ていることが名前の由来となっています。
また、
下降トレンドの場合=下降フラッグ
と呼びます。
併せて覚えておきましょう。
上昇フラッグの基本型は高値と安値の切り下げ
参考画像でも分かる通り、
高値と安値を切り下げて短期足で下降トレンドを形成
が基本形です。
これは逆方向へのバイアスが強まっている背景があり、
初心者のうちはトレンド転換のように見えてしまうので注意しましょう。
一方、
下降フラッグの場合は
高値と安値が切り上がるのが特徴となります。
高値と安値が切り上がる
重要なのは
- 1分~15分等の下位足:トレンドが転換
- 1時間以上の上位足:トレンドが継続している逆行現象
となりますので、
下位足の動きではなく上位足をベースに方向性を確認しましょう。
フラッグを利用した手法
次にフラッグを利用した実際の手法を解説していきます。トレンド相場で出現するフラッグは、適切なポイントを掴むことで大きく利益を伸ばすこともできます。チャートパターンも比較的分かりやすい部類となりますので、是非ご参考ください。
高値と安値を狙う
フラッグは
大局のトレンド相場の中で短期的なレンジ相場を形成する特徴があります。
したがって、
その高値と安値を狙ってスキャルピングのような感覚で
利食いを繰り返すのも有効な手法です。
一方、この手法は大きな利幅を望むと少々リスクが伴いますので、
海外FXのレバレッジを利用して
通常よりも若干ロットを増やし、
少しの値幅で利益を確保できるようにするのがおすすめです。
ブレイクした直後に順張り
フラッグをブレイクすると
トレンドが継続するだけでなくさらに勢いが強まる可能性がありますので、
そこを狙って順張りエントリーすると良いでしょう。
フラッグをブレイク時の
トレンドが継続+勢いが強まる可能性を狙って
順張りエントリーが◎
フラッグ形成途中のレンジの安値で順張りを仕込んでおいても良いですが、
より確度を高めるにはブレイクアウトを待つのが無難です。
ブレイク後の価格回帰で順張り
先ほどはブレイク直後の順張りを推奨しましたが、
FX相場にはブレイクした後に元の価格へ戻ってくる回帰性があります。
したがって、
ブレイク後に再度調整反発したタイミングで押し目、
あるいは戻りを狙うのも有効といえます。
ブレイク後に再度調整反発したタイミングで
押し目or戻り狙いも◎
実際のところ、初心者のうちはこちらの手法が適していますので、
まだ慣れないうちは落ち着いて相場を観察してからエントリーすると良いでしょう。
トレンド相場に現れる調整局面
ここからは、
トレンド相場でフラッグが形成される背景について解説していきます。
FX相場では殆どのトレンド相場で調整局面が発生し、
フラッグに大きく関係してきます。
仕組みを理解することでさらに有効な分析に役立ちますので、
しっかり押さえておきましょう。
調整の裏側の動き
トレンドの逆方向に圧力が加わる調整では、
市場に参加している投資家達の思惑が深く関係しています。
チャートはどういった場合でも人が作り出していますので、
それぞれの動向を深く考察して次のプライスアクションを予測しましょう。
そして調整局面で主な要因となるのは、
- 機関投資家
- 短期トレーダー
- 逆張り勢力
となりますので、一つずつ詳しく見ていきます。
機関投資家の戦略
巨額の資金で相場を動かしている機関投資家は、
あえて保有ポジションの一部を利確することで価格を揺さぶり、
個人投資家達の反対注文を誘うことがあります。
そうしてある程度反対注文を溜めている状態が調整局面であり、
再度トレンドへの圧力が強まることでそれらが損切りされて継続するのです。
短期トレーダーの利確
ショートタームでトレードを繰り返す短期トレーダーは、
順張りエントリーである程度の利幅が確保できたら手仕舞いすることが多いです。
そして順張り注文の利確はトレンドに対する逆方向への圧力となりますので、
フラッグ形成の起点になることがあります。
また、短期トレーダーは
フラッグ形成中のレンジでもトレードすることが多く、
価格が揉み合う大きな要因の一つともいえます。
個人投資家の逆張り
トレンド相場における個人投資家の逆張りも一つの要因となるでしょう。
一方、この場合は戦略というよりは
根拠の薄いトレンド転換を見込んだものとなります。
そのため、残念ながら損切りになる割合が比較的高く、
機関投資家やベテランの順張り勢力からはトレンド継続の燃料として捉えられています。
調整はトレンド継続のため
売りと買いのマッチングが基本の為替相場においては、
さらに強いトレンドを生み出すために
トレンドフォローの順張りと逆方向の注文(逆張り)が必要となります。
そのメカニズムを押さえれば
トレンド相場で有利に立ち回ることができますので、しっかり確認しておきましょう。
押し目と戻りの順張り注文
フラッグ等の調整局面では、
トレンドに対する順張り注文が溜まりやすい傾向があります。
したがって、
上昇トレンド:調整で下がったタイミングで押し目買い
下降トレンド:戻り売り
となります。
こういった順張り勢力の動きは
シンプルにトレンド継続を後押しする要因となりますので、
初心者のうちはこうして強い流れに乗ることを意識した方が良いでしょう。
反対注文の損切り
FXにおける損切りとは、
自身の持っているポジションを売却することといえます。
例えば上昇トレンドであれば逆方向の注文は売りとなり、
その売り注文の損切りは対象通貨に対する買いとなるのです。
したがって、トレンド継続による損切りは更なる勢いを与える結果となります。
これは三尊ブレイクやセリングクライマックス等の価格が走る相場で
広く当てはまる基本的な考え方ですので、是非覚えるようにしましょう。
フラッグを利用する注意点
フラッグは
トレンド相場のエントリーポイントとして有効なチャートパターンとなりますが、
同時にはいくつかのリスクもあります。
- ブレイクアウト直後は価格が戻る可能性が高い
- レンジトレードではブレイクに警戒する
- ダマシに注意する
場合によっては大きな損失がでてしまう可能性もありますので、
手法を試す際は十分に注意してください。
ブレイクアウト直後は価格が戻る可能性が高い
ブレイク直後のエントリーは
そのままチャートが走れば大きく利益を伸ばすことができますが、
FX相場はブレイクの位置に価格が戻る性質がありますので、
せっかく持ったポジションが一時的に含み損になってしまうこともあるでしょう。
ハイレバで余裕がない場合は
そのままロスカットになる危険もあります。
海外FXのレバレッジを利用する等、
しっかりリスクに備えてチャレンジしてください。
レンジトレードではブレイクに警戒する
短期的なレンジ相場を形成するフラッグは、
往復を狙ったスキャルピングも大変有効となります。
一方、どのタイミングでブレイクするかを正確に知ることは困難となりますので、
勢いに乗って逆張りしている最中に
ブレイクすると大きな損失がでてしまうでしょう。
順張りであれば多少強気でも問題ありませんが、
常に大局の目線を意識してトレードしてください。
ダマシに注意する
フラッグが出現したとしても、
確実にトレンド方向へブレイクするとは限りません。
相場環境やヘッドラインニュース等によってトレンド転換が起こり、
ダマシになってしまうことも十分に考えられます。
こういった事態に対応できるよう、
エントリーはブレイクを確認してから価格が戻ってきたところを狙う等して、
しっかり確度を高めてからにした方が良いでしょう。
その他のチャートパターン
FXチャートではフラッグ以外にも有効な形状が発生することがあります。
それぞれが投資家達の思惑を反映していますので、一つずつ見ていきましょう。
ペナント
フラッグと並ぶ代表的なチャートパターンがペナントです。
こちらもトレンド発生中に形成されることが多くなっていますが、
高値と安値が切り上がる(切り下がる)フラッグとは違って
高値の切り下げと安値の切り上げが起こり、
先が萎んで三角形を作る特徴があります。
別名『保ちあい相場』
フラッグと同じくトレンド継続に繋がることが多いチャートパターンです。
一方、ボラティリティが徐々に小さくなる傾向がありますので、
短期のスキャルピングには少々適しておらず、
ブレイクアウトを待ってエントリーするのが基本です。
レクタングル
フラッグやペナントと同じく
トレンド相場の継続サインに利用できる『レクタングル』は
高値と安値が一定ラインである特徴があり、
長方形のような形が名前の由来となっています。
長方形のような形が名前の由来
よく混同されがちなのが『ボックス』というチャートパターンです。
しかし、ボックスはレンジ相場で発生するものですので、
明確な違いが存在します。
ウェッジ
楔のような鋭角の形状をしている『ウェッジ』ですが、
こちらもトレンド継続のサインに利用出来ます。
一見するとペナントと同じような三角形を形成していますが、
こちらは高値と安値が同じ方向を向いている特徴があり、
上昇ウェッジであれば
高値の切り上げと安値の切り上げが起こりつつ、
ボラティリティは縮小し、三角形の先端が上向きになっています。
楔のようなとがった形状
下降ウェッジはこの反対ですので、ラインを引いて見つけてみましょう。
チャートを読み解く上で大切なこと
チャートパターンには多くの種類がありますが、
ここではそれらを正しく読み解く上で心掛けるべき基本的な考え方を二つ解説していきます。
今回解説したチャートパターンに限らず、
その他のテクニカル分析にも通じますので、しっかり押さえておきましょう。
形状と同時に投資家の動向を考察する
FXチャートはあくまで値動きを可視化したものであり、
本質はその裏側にある投資家達の動向といえるでしょう。
したがって、
チャートを型にはめるだけのテクニカル分析では残念ながら不十分といえますので、
次はどのようなバイアスがかかりやすいか
といった深掘りをすることが大切です。
大小の目線を常に意識する
今回解説したチャートパターンは、
どれも大局のトレンドに対して短期的な反発のレンジ相場を形成するものでした。
したがって、
下位足ばかりに気を取られてトレードに夢中になってしまうと、
大きな流れに飲まれて損失をだしてしまう可能性が高まります。
下位足ばかりに気を取られてしまう
→大きな流れに飲まれて、損失の可能性がUP
ベテランほど常に大局の流れを意識して立ち回っていますので、
分析の際は基本的に上位足で方向性や反発ラインを確認し、
詳細なエントリーポイントを下位足に落とし込んで決定する癖をつけるといいでしょう。
上位足で方向性や反発ラインを確認後、
→詳細なエントリーポイントを下位足に落とし込む
まとめ
今回はFXチャートに出現するフラッグの活用方法と注意点、
その他のチャートパターンについて解説してきました。
ほとんどのトレンド相場では、
さらに勢いをつけるために調整局面が発生します。
そしてフラッグはその代表的な例ともいえますので、
上手く利用して押し目や戻りを掴みましょう。
一方、ダマシ等のリスクや大局の流れを見失ってしまうリスクもありますので、
初心者のうちはブレイク後の戻りを狙う等して、
リスクヘッジしつつ確度の高いトレードを心掛けるようにしてください。