フィボナッチはトレンド相場で起こる調整や転換を可視化して、
押し目や戻りを掴むことのできるFXの必修テクニカルチャートです。
今回はFX初心者向けに、
フィボナッチをトレードで活かせる使い方やメリット・デメリット等を解説します。
FXのフィボナッチとは
数学の世界にはフィボナッチ数列というものがあり、
これは2つ前の数字と1つ前の数字を足していくことでできる数列で
1,1,2,3,5,8~といったように続きます。
フィボナッチ数列とは?
2つ前の数字と1つ前の数字を足していくことでできる数列
自然界に多く散見され人間が美しく感じる比率
一般的には殆ど馴染みのないものですが、
木の枝分かれや花びらの枚数といった形で自然界に多く散見されます。
フィボナッチ数列=黄金比
この法則は人間にとって最も美しく綺麗に収まるように感じる黄金比と呼ばれており、
FXの値動きにも応用されています。
フィボナッチ数列は、FXの値動きにも応用されている
フィボナッチ・リトレースメント
多くのFXトレーダーが愛用しているのが『フィボナッチ・リトレースメント』です。
これは高値と安値を結んで、61.8%や50%等のフィボナッチ数列で黄金比とされるラインを表示させたものとなります。
フィボナッチ・リトレースメントとは?
高値と安値を結んで、
フィボナッチ数列で黄金比とされるライン(61.8%、50%等)を表示させたもの
以下のトレンド相場では、
高値の100%ラインから61.8%まで戻して再度上昇しており、
この後は100%ラインをブレイクして、
トレンドが継続する公算が高くなっています。
このようにフィボナッチ・リトレースメントを利用すれば
値動きの調整幅を予測するだけでなく、
トレンド転換を判断することも可能です。
短期的には逆張りも有効ですが、
基本はトレンドフォローを意識して利用するのがメジャーとなっています。
その他のフィボナッチ分析ツール
フィボナッチ数列を応用したテクニカルチャートは他にも4つあり、
それぞれがトレンドの転換を探るのに役立ちます。
水平ラインを引くリトレースメントに対して
斜めにラインを引いて転換を予測するフィボナッチ・ファンや、
トレンドの転換ではなくどの程度継続するかに着目した
フィボナッチ・エクスパンション、
価格ではなく時間に数列を当てはめた変わり種の
フィボナッチタイムゾーンというものもあります。
弧の字にラインを引いて複数の円を表示するフィボナッチアーク
は更にマイナーとなっています。
利用する際の注意点は、
これらのフィボナッチ分析は
あくまで参考程度の補助ツールに適している
というポイントです。
機能面や設定方法が簡単な点を見ても、
トレーダー全般におすすめなのは、フィボナッチ・リトレースメントです。
フィボナッチ・リトレースメントの設定方法
多くのトレーダーのメインツールとして愛用されている
フィボナッチ・リトレースメントは、設定方法も非常に簡単となっています。
一方、正しい設定ができなければ効果は半減してしまうだけでなく、
間違った判断によって損失を生み出してしまう可能性もあるので、
しっかり覚えておきましょう。
直近の高値と安値を結ぶ
設定する際は上昇トレンドであれば
上昇起点になった安値を0%、直近の高値が100%ラインにくるようドラッグします。
下降トレンドの場合はもちろんこの逆です。
下降トレンド=下降起点になった高値を0%、直近の安値を100%ライン
この向きが正しくないと値動きに応じた黄金比が正しく機能しないので、
注意が必要です。
一度引いたラインは簡単に再設定できる為、
反応しているポイントがズレている場合は細かい微調整も可能◎
実際のところ設定はこれで完了しますので、初心者でも問題なく設定できます。
ヒゲは考慮しない
最も迷ってしまうのがローソク足に表示されるヒゲですが、
これはフィボナッチを設定する上では考慮せずに実体の足だけを見るようにしましょう。
全体の統計としても、
実体で引いた方が良い反応を示し、トレードにおいての優位性が向上した
という結果があります。
ちなみにサポレジライン等はヒゲに反応することもありますので、
あくまでもフィボナッチにおいての考え方として参考にしましょう。
上位足に設定する
全ての分析に共通する考え方ですが、
特にフィボナッチは1分や5分だけに設定しても殆ど意味はありません。
15分足~30分足は短期トレンド検証に使える場合もありますが、
確度の高い分析には1時間足以上で使うようにしましょう。
スイングトレードメインの方は、日足から週足で引くとより効果的です。
上位足であればその分振れ幅もありますので、利幅も大きく取ることができます。
多少ズレていても問題はない
チャートに設定する際は少々ズレていても気にする必要はありません。
特に上位足でボラティリティがあれば値動きがピタリとはまることは殆どありませんので、ライン付近のゾーンを捉えられていれば分析の際、十分な効果がでるでしょう。
フィボナッチのメリット
テクニカルチャートの代表格ともいえるフィボナッチは、
上手く利用すれば多くのメリットを得ることができます。
ここからはメリットの中のいくつかを見ていきましょう。
トレンド相場でエントリーチャンスを見つけやすい
トレンド相場では、
適切なポイントでエントリーすることで大きく利益を伸ばすことが可能です。
そしてフィボナッチを利用すれば、
下降トレンドの戻り売り
を適切に狙うことができるので、
スイング以外にも、デイトレやスキャルピングメインの方にも幅広くメリットがあります。
特に週足レベルで押し目や戻りのエントリーができれば、
100pips以上の利幅を狙うことも十分に可能です。
基本的に無料で利用できる
非常に便利なフィボナッチですが、
基本的に取引ツールには標準搭載されていますので無料で利用可能です。
特に海外FXでメインプラットフォームとして採用されているMT4では、
リトレースメントだけではなくその他の4種類に関しても全て無料となっています。
相場状況に合わせて組み合わせれば
トレードの精度を高めることに繋がるでしょう。
無駄なエントリーを減らせる
根拠の希薄なエントリーは損失を生み出す大きな要因となってしまいますが、
フィボナッチを利用することで
そういった無駄なエントリーを減らすことが可能です。
フィボナッチはチャート上にシンプルな形で表示されますので、
初心者でも使いやすく早い段階から効果が期待できるでしょう。
- ~%まで反発したら、エントリー
- 予想通りにならなければ、エントリーは見送り
といった明確なルールを設定するのも大変有効な利用方法です。
フィボナッチのデメリット
フィボナッチは初心者にとってもメリットの多いテクニカルチャートですが、
ここからは利用時に注意したいいくつかのデメリットを見ていきましょう。
レンジ相場では効果が薄い
一方向に価格が動くトレンド相場においては
調整の反発やトレンド転換等を発見するのに役立ちますが、
一定幅で値動きを繰り返すレンジ相場では効果が発揮されにくいでしょう。
仮にレンジ相場となってフィボナッチが引けない場合は、
ボラティリティが減少してスクイーズし、
三角持ち合いを抜けてからレンジブレイクを確認して設定した方が無難です。
したがって、
フィボナッチはあくまでもトレンド相場での反発具合を見るためのツールとして
利用することを軸に考えるようにしましょう。
慣れるまでは高値と安値が見つけにくい
まずフィボナッチが有効なトレンド相場であることを判断するために
下降トレンド=切り下げが起こっている状態
を見つける必要があります。
次にフィボナッチを設定する高値と安値を見つけるために『ダウ理論』を利用します。
初心者の場合はまずその作業に慣れる必要があるでしょう。
また、各時間足によってもそのポイントは変わってきますので、
有効なフィボナッチを引くには
ある程度チャートの見方を勉強してからの方が良いです。
過信に要注意
全てのテクニカルチャートに当てはまることですが、
フィボナッチという一つの根拠だけを頼りにトレードするのはリスクが伴います。
急な相場変動やダマシが発生する可能性もありますので、
複数の根拠を組み合わせつつ、
経済状況から見通しを判断する等して信頼性を高める必要があるでしょう。
一方、
その他のテクニカルチャートを同時に表示させ過ぎるとチャートが煩雑になり
逆効果になる恐れもありますので、
自身のスタイルにマッチする必要最低限の組み合わせを見つけて下さい。
フィボナッチ・リトレースメントの活用方法
フィボナッチは
簡単な見方で相場を分析することのできるテクニカルチャートですが、
有効な使い方を知らなければ利益に結び付けることは難しくなってしまいます。
そこでここからは、
フィボナッチの実際の活用方法をご紹介していきます。
- トレンドの転換ラインを見つける
- トレンド相場の調整幅でエントリーする
- 61.8%戻しを意識する
- 重要指標発表後の乱高下
- チャートのフラクタルを利用する
どんどん活用していきましょう。
トレンドの転換ラインを見つける
フィボナッチは、
23.6、38.2、50、61.8%のラインに触れた値動き
を観察して、トレンド継続の判断をします。
各ラインで反発が一旦止まり、既定のトレンド方向に進行
↓
再度反発スタート
↓
50%や61.8%などの高い%に到達するほど
トレンド方向への圧力が弱まる
↓
転換する可能性がUP
具体的には
各ラインで反発が一旦止まり、
既定のトレンド方向に進行します。
そして再度反発が始まり、
50%や61.8%といった高いパーセンテージに到達するほど
トレンド方向への圧力が弱まり、
転換する可能性が高まるという判断に役立ちます。
トレンド相場の調整幅でエントリーする
FXチャートは上下を繰り返してN字を描くようにトレンド進行していきます。
そしてフィボナッチを利用すれば
トレンドと逆方向に動く調整のタイミングの見計らいが可能
になります。
このため、
押し目買いあるいは戻り売りで利幅を取ることができるでしょう。
この時に注意するべきなのが、
大局のトレンドに逆らう逆張りは損失が大きくなる懸念がありますので、
あくまでもトレンドフォローのポジションを狙うのが理想的です。
61.8%戻しを意識する
フィボナッチは61.8%ラインで反発が伸び止まる可能性が高くなります。
したがって多くのトレーダーがフィボナッチを利用する場合は
このラインをエントリーの目安にすることが多く、
上位足であればあるほど確度の高いトレードが期待できるでしょう。
多くのトレーダーがフィボナッチを利用する場合、
61.8%ラインをエントリーの目安にすることが多い
もちろん他のラインでも反応しますが、
使い始めのうちは
トレンド相場の61.8%に触れるタイミングでエントリーすることをおすすめします。
他のテクニカルチャートと組み合わせる
フィボナッチ単体でも一定の信頼度はありますが、
その他のテクニカルチャートを組み合わせることで
よりトレードの精度を高めることができます。
おすすめは移動平均線の同時表示で、
フィボナッチラインと重なったタイミングは値動きが反応する確率が高まるでしょう。
また、トレンドラインやチャネルラインを組み合わせても効果的です。
一方、思いつくテクニカルチャートを全て表示させると
チャートが分析しづらくなってしまいますので、
フィボナッチの他に1つか2つを目安にした方が良いでしょう。
重要指標発表後の乱高下
人間の心理に影響を与えるフィボナッチは、
乱高下時の値動きにも利用することができます。
政策金利発表や雇用統計等でサプライズが起こった際、
結果的には内容に沿った方向へ相場は動きますが、
殆どの確率で短期的な利食いや損切りによる反発が起こります。
→結果的には内容に沿った方向へ相場は動くが、
高確率で短期的な利食いor損切りによる反発が起こる
そしてこういった場合でもフィボナッチは有効で、
61.8%や50%付近でスキャルピングをするのも有効な手法の一つです。
一方、その後の動きがレンジになった場合は効果が薄くなりますので、
あくまでも突発的な乱高下の反発に絞って使うようにしましょう。
チャートのフラクタルを利用する
先ほど下位足のフィボナッチは効果的ではない旨解説しました。
しかし、上位足との組み合わせで下位足を利用することで
エントリーの精度を高めることが可能です。
上位足でフィボナッチ分析をして
トレンドと反発を確認後、
5分や15分等の下位足に落としてフィボナッチを引く
→更に精度の高いエントリー
この手法は上位足の補足として下位足を利用するといったものです。
あくまでも頻繁にトレンド転換が起こる
下位足単体では根拠が弱いということは忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は
FXにおける代表的なテクニカルチャートのフィボナッチの種類や活用方法を解説してきました。
フィボナッチは正しく利用することで
トレンド転換や押し目買い、戻り売りを判断することができます。
適切なエントリーは利益を伸ばすだけでなく、
損失を限定することにも繋がりますので、
本記事を参考に積極的に活用していきましょう。