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海外FX初心者には危険?ナンピントレードに気をつける理由とは?

FX取引には「ナンピントレード」と呼ばれる手法があります。

ナンピンを推奨する情報もありますが、
内容をきちんと理解していない状態で多用すると、
大きな損失につながるリスクがあります。

今回は、ナンピントレードがFX初心者にとって危険な理由を解説します。

ナンピントレードとは?

FX取引手法の1つに、『ナンピントレード』という手法があります。

ナンピントレードとは?

損失が発生しているポジションと同じ方向のポジションを持つことで、
損失を薄めようとする取引のこと

FXの情報源によっては、ナンピントレードを推奨する内容のものもあります。

しかし、
ナンピントレードはFX初心者には向かない大きなリスクがあるため注意が必要です。

ナンピントレードのメリットとデメリットに加え、
大いにリスクをはらんでいることを紹介するので参考にしてください。

「難平」(ナンピン)の意味

ナンピントレードの「ナンピン」を漢字で記載すると、「難平」となります。

「難を平らにする」という意味で、
発生した損失を平均化することを意味しています。

難平という言葉自体の歴史は古く、
江戸時代から利用されてきたといわれています。

ナンピン=「損失の平均化」という意味がある

ナンピントレードの手法

FX取引においてナンピントレードといえば、
損失が発生しているポジションと同じ方向のポジションを持つことで、
損失を薄めようとする取引のことを指します。

ポジションを増やすことで、
発生している損失を平均化し、
トータルで損失の割合を減らすことを目指したトレード

です。

買いポジション保有時に相場が下がった時、
下がった時点でさらに買いポジションを増やすといった取引になります。

FXにおけるナンピントレードは、
同方向のポジションを買いまして損失を平均化する取引になります。

ナンピントレード=トータルの損失割合を減らす事を目指すトレード

ナンピントレードの具体例

文章だけではイメージがしにくい方もいると思うので、
ナンピントレードの具体例を1つ紹介しましょう。

例)
USD/JPYの通貨ペアにおいて、
相場が上昇することを想定して
①106.40で1000通貨を保有

相場が②104.50に下がった場合
含み損=(▲1.9×1000)=▲1900

そこで、②104.50の相場でさらに1000通貨を買い増す
相場の平均=(①106.40+②104.50)÷2=105.45

③2000通貨を平均で105.45の相場で保有していることになる

平均の保有レートを下げる効果を享受することができた

ナンピントレードで、保有ポジションの平均レートを平準化できる

ナンピントレードのメリットとデメリット

ナンピントレードは、
保有ポジションの相場平準化があり有効な手段にも見えますが、
もちろんデメリットもあります。

FXだけでなく、あらゆる投資手法にはメリットとデメリットがありますが、

ナンピントレードも同様で、
メリットもありますが大きなデメリットがあることを理解しないと非常に危険な取引になりかねません

これからナンピントレードのメリットとデメリットを簡単に解説しますので、
きちんと理解した上で、使用するかどうかを検討しましょう。

ナンピントレードのメリット

ナンピントレードのメリットは、
一度想定した相場から反転した場合、大きな利益を獲得できる可能性がある点です。

例)
先ほどの具体例で示した状態
(①106.40で1000通貨を保有)で

相場が106.50にまで跳ね上がったら・・・

【ナンピントレードをしなかった場合】
(+0.1×1000)=100の利益

【ナンピントレードをした場合】
②104.50の相場でさらに1000通貨を買増し

③2000通貨を平均で105.45の相場で保有の状態

(+1.05×2000)=2,100の利益

ナンピントレードをした時としなかった時では、
利益額に大きな差があることが分かります。

ナンピントレードは相場が反転することを期待したトレードであるため、想定通り相場が反転した場合には大変有利になります。

ナンピントレードのメリット
= 相場反転した場合に利益額が大きくなる

ナンピントレードのデメリット

逆に、ナンピントレードのデメリットとは、
ポジションを買い増しした後、相場が反転しなかった場合、大きな損失を発生させてしまうリスクがある点です。

例)
先ほどの具体例で示した状態
(①106.40で1000通貨を保有)で

相場が104.00に下がったら・・・

【ナンピントレードをしなかった場合】
(▲2.4×1000)=▲2400の損失

【ナンピントレードをした場合】
②104.50の相場でさらに1000通貨を買増し

③平均105.45で2000通貨を保有状態

(▲1.45×2000)=2900の損失

ナンピントレードをした時としなかった時では、
損失額に大きな差があることが分かります。

ナンピントレードのデメリット
=想定が外れた場合に損失を生むリスクが大きくなる

ナンピントレードは、高利益を生む反面、高額損失の可能性もあるので注意が必要です。

ナンピントレードがハイリスクと考えられる理由

このようにナンピントレードはメリットもありますが、リスクを大きくしてしまうトレードとして多くのトレーダーからは敬遠されています。

ナンピントレードがハイリスクとされるのには理由があります。
先ほど説明したように損失が大きくなってしまうリスクに加えて、さらに他のリスクもあります。

これからナンピントレードがハイリスクと考えられる代表的な要因を3つ紹介します。

ナンピントレードのハイリスク要因
  1. 資金管理が難しい
  2. メンタル負担がかかりすぎ失敗しやすい
  3. スワップポイントによる損失拡大の恐れ

資金管理が難しい

ナンピントレードをする際は、資金管理をきちんとしないと非常に危険です。
ナンピントレードは、相場が想定と異なる方向になったらさらに買い増しをするため、相場が好転しないとどんどんポジションが増えていってしまうことになります。

ポジションを持ち続けるためには、相応の証拠金がないといけません
保有ポジションを保つための証拠金がないと、ロスカットとなってしまいすべてのポジションが解消され、すべてが損失として確定してしまいます。

相場が反転しなかった場合、
ナンピントレードでは資金が枯渇してしまったときは
非常に大きな損失を確定させてしまう結果となります。

ナンピントレード具体例①

ナンピントレードにおいて資金管理に失敗する具体例を紹介しましょう。

USD/JPYの相場で、
2007年頃から2013年頃までずっと下落傾向が継続しました。

2007年では120を超えていた相場が、
2011年には一時75にまで下がりました。

2007年の120の段階で買いポジションを持って、
その後の下落局面の時にナンピントレードを開始した場合、
およそ6年間ポジションを保有し続け、
なおかつ下落のたびにポジション買い増しをしたとしたら相当な量の買いポジションを保有することになります。

6年間も継続して膨大な量のポジションを維持するための資金管理をするのは大変で、
かつ他の投資機会を失ってしまうことにもつながります。

メンタル上の負担がかかりすぎ失敗しやすい

ナンピントレードを継続するには、
かなり大きなストレスに耐える必要があります。

初心者の場合は、
損失確定を避けるためにナンピントレードに走ってしまい失敗するケースが多くなります。

ナンピントレードは初心者が利用すると、
単に損失確定を避けるためにポジションを買い増しするという傾向が大きくなってきます。

一度ナンピンを開始してしまうと、
相場がどんどん悪化したとしても、「今更後に引くことはできない」とさらにナンピンを繰り返し、損失をどんどん拡大してしまうという悪循環に陥ってしまう危険性があります。

ナンピントレードを継続するには
資金面に加えて精神的に強くないと失敗することが多くなってしまいます。

スワップポイントによる損失拡大の恐れ

FXには、通貨ペアごとに『スワップポイント』と呼ばれるポイントがあります。

イメージ的には、
銀行預金における預金利息のような感覚で貯蓄できるポイントと考えてください。

通貨間の金利調整により発生するポイントですが、
FXの場合はプラスのポイントだけではなく、
通貨ペアによってはマイナスのポイントも発生します。

もしナンピントレードで買い増ししたポジションが、
マイナスのスワップポイントを発生させる通貨ペアだった場合、

長期間ポジションを保有すればするほどマイナスのスワップポイントが蓄積され、
大きな損失につながってしまう
ので注意が必要です。

ナンピントレード具体例②

ナンピントレードにおいて、スワップポイントによる損失発生の具体例を紹介しましょう。

USD/JPYの通貨ペアは、

買いポジションの場合:プラスのスワップポイント
売りポジションの場合:マイナスのスワップポイント

が付与されていきます。

例)
USD/JPY売りポジションで、10万通貨を保有

 【スワップポイント】1日当たり▲300円の場合
ヶ月(▲300×30)=▲9,000円 

一ヶ月で約9,000円の損失

半年=(▲300×182)= ▲54,600円
1年=(▲300×365)= ▲109,500円
という風に、日数に応じてどんどん損失が大きくなってしまいます

長期間ポジションを保有すればするほどマイナスポイントが蓄積されるので、
気づいたら大きな損失を生む要因になりかねません。

スワップポイントは、FX会社ごとに異なり日々変動している

 

ナンピントレードではスプレッドの影響も考慮すべき

ナンピントレードを実践する場合は、『スプレッド』のことも考慮するべきです。

スプレッドとは?

ある通貨ペアにおける
買い(Ask)と売り(Bid)の為替レートの差のこと

実質、FX会社に支払う手数料の意味合いがあり、
スプレッドが大きいほど負担が大きくなります

ナンピントレードにおいて、スプレッドの差は取引結果に影響が及びます。

取引回数が減少する

ナンピントレードにおいて、スプレッドの幅が広くなるほど、
総じて利益確定の回数及び利益の金額は減少
します。

これは、目標とする利幅を達成する機会が減少することになるためです。

ナンピントレードは、
目標とする利幅を設定し目標レートに達するまでポジションを保有し続け、
逆に相場が動いた時には追加でポジションを持ち利幅確保を目指す取引です。

スプレッドの幅が広くなると、
設定した目標レートに達する回数が減少し、
利確回数が減少することから、利益額そのものも減少することになります。

スプレッドが狭いFX会社を利用するべき

ナンピントレードを行なう際には、スプレッドが狭いFX会社を利用したほうが有利です。
利益確定の回数が増え、結果として利益額の増加につながためです。

スプレッドは、FX会社によって異なるので、
取引を開始する前に十分にFX会社ごとのスプレッドを比較しましょう。

数ポイントの差でも、総額で算出すると大きな影響になります。

スプレッドだけでFX会社を選択するのは望ましくありませんが、
一つの選択のポイントとして考慮するべきです。

FX初心者にナンピントレードは向かない

ナンピントレードはリスクが高い取引とされているものの、
メリットもあるので一概に避けるべき取引と決めることは難しいです。

しかし、FX初心者にはナンピントレードは向かないということは周知の事実となっています。

FX初心者は、リスクが比較的少なく、
基本となる取引手法を身につけてから、
一つの選択肢としてナンピントレードを実践するか検討するなど、段階を経て利用する方が無難です。

FX初心者にはナンピントレードはリスキー

ナンピントレードは逆張り取引と同義

ナンピントレードは、取引手法としては逆張りの取引と同義となります。

逆張りとは?

相場の動きが予想と反対に動いた時、
反転を期待してトレンドと逆向きのポジションを保有する手法

逆張りは、トレンドの転換を見極める判断力が問われるため、FX初心者には向きません

しかもナンピントレードの場合は期待に
反し相場が反転しなかった場合の損失が大きくなってしまいます。

ナンピントレードは実質的に逆張り取引であるため、
FX初心者には向いてないと言えます。

FX初心者はひとまず順張りを理解するべき

FX初心者の方は、まずは順当でわかりやすい取引である順張りを理解することから始めるべきです。

順張りとは?

相場のトレンドと同じ向きのポジションを持ち、
トレンド通りの値動きを期待するエントリー手法

トレンド通りの売買注文をすればよく、初心者でもエントリーのポイントをつかみやすいのでおすすめです。
FX自体がリスクのある投資商品であるため、まずはリスクが少なくエントリーしやすい順張りの手法を理解することをおすすめします。

初心者は順張りからがオススメ◎

FX初心者はナンピンよりもまず損切りに慣れるべき

ナンピントレードは、予想した相場と反対の動きを見せた時、損切りせずポジションを増やしてそのまま保有する選択をします。

損失を確定してポジションをクローズしてしまう損切りの考え方と相対するものとされています。
FX初心者は、ナンピントレードよりも損切りを選択する方が、リスクを軽減できるためおすすめです。
ナンピントレードのメリットを活用する前に、FX初心者はリスクを少しでも軽減することを考える方が無難です。

ナンピンと比較した時、損切りの利点を上げると以下のようなものがあります。

  • 含み損のストレスがない
  • 機会損失のリスクがない

以下に解説していきます。

ナンピンと比べた損切りの利点1:含み損のストレスがない

ナンピントレードの場合は、含み損を持ったポジションを持ち続けることになり、
含み損が増えたり減ったりすることをチェックしないといけません。

これに対し、損切りをすればポジション自体がなくなるので、含み損のことを心配する必要がありません

含み損は、損失が確定していないとはいえ、ストレスとなります。

特にFX初心者にとっては
他のことが手につかなくなるほどの大きなストレスになりかねません。

損切りを早めに行ない、含み損のストレスから解放されることは大きなメリットです。

ナンピンと比べた損切りの利点2:機会損失のリスクがない

ナンピントレードの場合、予想と反対に相場が動いた場合、
ポジションを増やしていくことになるため、
証拠金の金額によっては別の新規トレードをすることができなくなります。

予想しやすい相場になって、
いざ売買をしようとしたときに証拠金不足で新規売買ができない、
ということが起こり
機会損失となってしまいます。

損切りの場合は保有ポジションを必要以上に残さないことになるので、
新規の取引チャンスを逃す心配がありません。

まとめ

ここまでナンピントレードに関して説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

デメリット面が多いように感じたかもしれませんが、
ナンピントレードにもメリットはもちろんあります。

うまく活用することができれば、相場によっては大きな利益を狙える売買手法です。

しかし、大きなリスクを同時に追ってしまうので、
FX初心者の方はひとまず避けるべき取引です。

FX初心者のナンピントレード注意点
  • 大きなリスクがあるナンピントレードはひとまず避ける
  • 初心者のうちはナンピンの前に損切りに慣れる

初心者のうちはナンピンの前に、損切りに慣れておく方が良いでしょう。

安定して長期間FX投資を楽しむためには、
できるだけリスクを軽減しながら取引をすることをおすすめします。