相場の方向性を予測するためにどんな方法が有効か、悩んだことはないでしょうか。
「ファンダメンタルズ分析」や「テクニカル分析」という言葉は聞いたことがあるけど、
実際どんなことをするのかわからない方も多いのではないかと思います。
どちらも重要な分析方法ですが、
初心者が相場の動き出しのキッカケや節目を見つけるためには、
テクニカル分析を使うのが有効的です。
この記事では、以下の4つについて解説していきます。
- 『ファンダメンタルズ分析』と『テクニカル分析』の違い
- テクニカル分析の種類
- 代表的な7つのテクニカル分析
- テクニカル分析を行う際の注意点
この記事を読めば、テクニカル分析とは何か、
どのような手法を組み合わせれば勝てるようになるかがわかるので、
ぜひ最後までご覧ください。
FXにおける2つの分析方法
FXで今後の価格を予測する際には、
『ファンダメンタルズ分析』と『テクニカル分析』の2つがよく使われます。
世界中の多くの投資家は当然のように主要なテクニカルポイントをチェックし、
金利や経済指標の変化をチェックしています。
そのため、両方をしっかりとマスターし、
相場が動き出すキッカケを探し出す自分なりの分析方法を見つけることが重要です。
ファンダメンタルズ分析
「ファンダメンタルズ分析」とは、
世界各国の政治・経済・金融の状況を基に通貨の力関係を予測する分析方法です。
ファンダメンタルズ分析 = 通貨の力関係を予測
主なファンダメンタルズの要素には、以下のものが挙げられます。
- 景気
- 株価
- 政治動向
- 金融政策
- 地政学
- 要人の発言
- 人口統計
- 天災
これらの要素から中・長期的なトレンドを判断することができます。
長期にわたる大きなトレンドはファンダメンタルズ要因がベースにあるので、
トレードの時間軸が長くなるほど重要性を増してきます。
テクニカル分析
「テクニカル分析」とは、
過去の値動きをあらわすチャートから未来の相場動向を予測する分析方法です。
テクニカル分析 = 未来の相場動向を予測
チャートの情報に対して数学・統計的なアプローチをすることや、
これまでの経験則から洞察を加えることで未来の値動きを予測していきます。
つまり、テクニカル分析は「過去のパターンが繰り返される可能性が高い」ことを利用し、似たようなパターンを探して売買ポイントを見つけるのです。
どちらが重要?
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は連動しており、
どちらも重要な分析方法です。
短期的なトレードほどテクニカル分析の影響が大きく、
長期的なトレードほどファンダメンタルズ分析の影響が大きくなる傾向があります。
テクニカル分析・・・短期的トレードに◎
ファンダメンタルズ分析・・・長期的トレードに◎
今回は、初心者の段階で学ぶのに良いとされているテクニカル分析について
詳しく解説していきます。
ローソク足
テクニカル分析を行うためには、
ローソク足の見方を知っておく必要があります。
ローソク足からは、
一定期間内の始値・終値・高値・安値
の4つの価格情報がわかります。
また、ローソク足には陽線と陰線の2種類があり、一目でその期間の値動きをイメージすることができます。
陽線 = 始値より終値が高いローソク足
陰線 = 始値より終値が安いローソク足
そしてローソク足を時系列に並べたものがチャートで、横軸で時間の経過を、縦軸で価格の推移を表していきます。
チャート横軸 = 時間経過
チャート縦軸 = 価格推移
ローソク足と実際の値動きの関係は下のようになります。
支持線(サポートライン)と抵抗線(レジスタンスライン)
FXの値動きの中には、それまでの流れを何度も下支えしていたり跳ね返していたりする場所があります。
その価格帯を『サポートライン』や『レジスタンスライン』といいます。
サポートラインやレジスタンスラインは多くのトレーダーが注目するため、ラインの付近ではそれまでの値動きが反転しやすくなります。
また、これまでさんざん跳ね返されてきたレジスタンスラインを上抜けたときには、
レジスタンスラインはサポートラインに変わります。
逆に、サポートラインを下抜けた時には、
サポートラインがレジスタンスに変わります。
そのため、サポートラインやレジスタンスラインを意識して分析することが重要です。
トレンド系とオシレーター系
テクニカル分析には、
大きく分けて『トレンド系』と『オシレーター系』の2つがあります。
トレンド系はトレンドの方向性をあらわす指標で、
オシレーター系は買われすぎ・売られすぎをあらわす指標です。
オシレーター系 = 買われすぎ・売られすぎの指標
それぞれの指標にはダマシも多いことから、通常は複数の指標を合わせて使います。
トレンド系 | オシレーター系 |
移動平均線 | MACD |
ボリンジャーバンド | RSI |
一目均衡表 など | ストキャスティクス など |
人気の高い代表的なテクニカル分析7つ
テクニカル分析には非常に多くの種類がありますが、人気の高い代表的な7つの分析方法をご紹介します。
移動平均線
移動平均線とは、ある期間の終値の平均値を線で結んだもので、相場のトレンドを探るための最もポピュラーなテクニカル指標です。
一般的によく用いられる期間は、5、10、13、21、25、50、75、90、200などです。
移動平均線 = ある期間の終値平均値を線で結んだもの
ローソク足と移動平均線でおおまかなトレンドを知ることができ、
各トレンドにおいては移動平均線がサポートやレジスタンスのラインとなることもあります。
移動平均線を使った典型的な売買サインには
『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』があります。
これは、短期と中期の2本の移動平均線を使ってトレンド転換を判定する方法です。
具体的には、
中期の移動平均線が上向いている時に短期の移動線が下から上に上抜けたら買い、
逆に中期線が下向いている時に短基線が上から下に下抜けた時は売りのサインとなります。
中期移動平均線が上
短期移動線が下から上抜け
→買いサイン
中期移動平均線が下
短期移動線が上から下抜け
→売りサイン
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線の上下に標準偏差の帯を表示し、相場の反転や保ち合い放れを判断する指標です。
ボリンジャーバンド=相場の反転や保ち合い放れを判断
+2σ~-2σの範囲に価格が収まる95.4%であることを利用して、
バンドとの乖離を売買のタイミングの参考にするのです。
値幅の大きいトレンドではバンドが広くなり、値幅のないレンジ相場だとバンドは狭くなる特徴があります。
また、バンドが収束に向かう時は急に上昇(または下降)するなど、
次の強いトレンドが発生する可能性があるので注意が必要です。
一目均衡表
一目均衡表は、基準線・転換線・2本の先行スパン・遅行スパンで構成される日本生まれのテクニカル分析です。
「価格」よりも「時間」の概念を重視し、相場は買い方と売り方の均衡が崩れた方向に動くという考え方に基づいて作られています。
基準線が相場の方向性をあらわし、
転換線とクロスした位置で相場の好転や逆転を判断します。2つの先行スパンで挟まれた領域は「雲」と呼ばれ、サポートやレジスタンスとして機能します。
MACD
MACDは、短期と中期の指数平滑移動平均線(EMA)を使った分析方法で、
トレンドの方向性と転換を判断するのに役立ちます。
MACD = トレンドの方向性と転換を判断
一般的には
シグナル=9
短期EMA=12
中期EMA=26
の数値がよく使われます。
基本的な売買シグナルは、
MACDが0より下でシグナルを下から上に突き抜けた時が買い、
MACDが0より上でシグナルを上から下に突き抜けた時が売りとなります。
RSI
RSIは、一定期間の価格の変動幅から「買われすぎ」「売られすぎ」を%であらわしたオシレーター系の代表的な逆張り指標です。
RSI = 価格変動幅から、「買われすぎ」「売られすぎ」を%であらわす
一般的には70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎといわれています。
ただ、レンジ相場では威力を発揮しますが、
強いトレンドが発生した場合には上下どちらかに張り付いたままで機能しないので、
ほかの指標とあわせて使うのが大事です。
ストキャスティクス
ストキャスティクスは、
過去の高値・安値に対して当日の終値がどのような位置にあるかをあらわした指標です。
ストキャスティクス = 過去の高値・安値に対し、当日終値の位置をあらわす
%K(短期線)と%D(中期線)の2本を使って
逆張り的に売買のタイミングを計るために使います。
一般的には、20%以下で%Kが%Dを下から上抜いた時に買い、
80%以上で%Kが%Dを上から下抜いた時が売りとされています。
ただ、ダマシも多く、ほかのトレンド系の指標とあわせて使うのがセオリーです。
また、RSIやストキャスティクスでは、
価格の動きとテクニカル指標が逆行する「ダイバージェンス」といわれる現象が起こることがあります。
ダイバージェンス = 価格の動きとテクニカル指標が逆行する現象
このダイバージェンスは、トレンド転換が起こる時の比較的強いサインといわれ、逆張りの絶好のポイントとなるので注意しておいてください。
平均足
平均足は陰線・陽線に連続性を持たせているので、
ローソク足よりトレンドがはっきりわかります。
保ち合い相場の時には平均足の上下にヒゲができ、
トレンドが出ている相場では実体部分が大きくなるという特徴があります。
また、
実体部分が極端に短い十字線が出たら
トレンドが反転する可能性が高い
とされています。
視覚的にトレンドの発生・継続・終了がわかりやすくなっているので、多くの愛用者がいます。
初心者が使うべきテクニカル分析
相場は、トレンドが発生したらしばらくは継続しやすいという特徴があります。
そのため、初心者はトレンドを追いかける形で大きな値幅を狙う「順張り(トレンドフォロー)」が利益を上げやすいです。
そして、そのトレンドを視覚的にとらえて売買ポイントを見つけ出すためには、「移動平均線」を使うのが最も有効的です。
- トレンド発生後、相場はしばらく継続しやすい
- 「順張り」が利益を上げやすい
- トレンドから売買ポイントを見つけ出す
- 視覚的に捉えられる「移動平均線」が◎
まず、短期・中期・長期の3本の移動平均線を表示して
現在の価格とのおおまかな位置関係を把握し、
相場がどちらの方向を向いているかを確認します。
移動平均線が上から順に短期>中期>長期の順
=上昇トレンド
移動平均線が上から長期>中期>短期の順
=下落トレンド
このような状態を「パーフェクトオーダー」と呼び、
大きな流れに乗って利益を獲得できるチャンスです。
また、3本の移動平均線が短期間に何度も交差を続けているときにはトレンドが出ていない状況です。ほかのオシレーター系の指標と組み合わせて、逆張りのタイミングを狙うのが有効的な戦略となります。
テクニカル分析をする際に注意すること
テクニカル分析は、相場の節目や転換点を探したり、
今後の動きを予測して戦略を立てるのには非常に有効な手段です。
しかし、すべてのシグナルが絶対に正しいわけではないことに注意しておいてください。
なぜなら、同じ手法を使っていても分析する人によって結果が違ったりするため、
ダマシも非常に多いからです。
テクニカル分析は初心者でも簡単に相場の方向性を見ることができ、
売買ポイントを見つけ出すことができますが絶対ではありません。
相場は時に不測の事態によって思わぬ方向に動くこともあります。
そのようなときに慌てずに対処できるように
、さまざまな角度から分析の精度を上げていくために努力する必要があります。
また、テクニカル分析だけに頼らず、
ファンダメンタルズ分析と併せてバランスよく分析していくことも重要です。
「休むも相場」という格言がありますが、
分析結果に自信が持てないときやわからないときは、一旦相場を休むのもひとつの手段です。
分析結果に自信がない・わからない時は、いったん休んでみる
自分に合った分析方法をみつけよう
テクニカル分析にはそれぞれ特徴があり、そのことを理解すれば初心者でも比較的簡単に始められます。
たとえば、移動平均線やMACDは相場のトレンドがはっきりしている時に使いやすく、RSIやストキャスティクスはレンジ相場で威力を発揮します。
しかし、いずれの指標も相場動向から投資家の心理状況を分析し、
今後の値動きを予測するという点では同じです。
つまり、
自分のトレードスタイルや考え方に合わせて、
使いやすいテクニカル指標を使うことが大事
です。
そのテクニカル指標の長所や短所を充分理解することで、
エントリーや利益確定・損切りのポイントが見えてきます。
ひとつの指標だけではダマシも多いことを念頭に置いて、
複数の指標で総合的に判断できるようにしてください。
最後にものをいうのは相場観
ここまでテクニカル分析について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 『テクニカル分析』=チャートから未来の相場動向を予測
- テクニカル分析には、トレンド系とオシレーター系の2種類がある
- 7つのテクニカル分析についての概要
- 初心者は「移動平均線」でトレンドをつかむことから始めよう
- テクニカル分析は絶対ではないので、過信は禁物!
- 複数の指標を使った総合的な判断が重要
テクニカル分析から読み取れるシグナルを、自分の相場観を活かして取捨選択することで、どういう状況の時に当たりやすくて、どういう状況の時に外れやすいかがだんだんわかってきます。
FXで勝つための相場観を磨くためにも、しっかりと自分に合ったテクニカル分析の手法を身につけましょう。