テクニカル分析を行うにはどのインジケーターを使えばいいのか迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。初心者の方の中には、各インジケーターの特徴や、どんな使い方をすればいいのかわからない方も多いと思います。
インジケーターには、トレンド相場に強いタイプとレンジ相場で威力を発揮するタイプがあります。
この記事では、以下について解説していきます。
- インジケーターとは何か
- インジケーターの種類
- 初心者にもオススメの7つのインジケーター
この記事を読めば、インジケーターとは何か、どのように活用すれば相場を読み解くことができるようになるのかがわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
インジケーターとは?
『インジケーター』とは、為替価格のデータをさまざまな計算で加工し、視覚的に買い時・売り時をわかりやすく判断できるようにした機能のことです。
その数値はチャートをテクニカル分析する際に使われるので、『テクニカル指標』と呼ばれます。
インジケーター = 売り時・買い時を判断するためのテクニカル指標
今後の値動きを予測するために、現在の相場のトレンドや強弱を認識するのには欠かせないツールです。
インジケーターの種類
インジケーターは無数に存在しますが、大きく2つの種類に分類することができます。
「トレンド系インジケーター」
「オキシレーター系インジケーター」
の2種類に大まかに分類できる。
それぞれ特徴を知らなければ有効活用できないので、特徴をこれからわかりやすく解説していきます。
トレンド系インジケーター
『トレンド系インジケーター』は、
トレンドを認識したり、トレンドの発生を予測するのに使います。
- 上昇トレンドが継続しているのかどうか
- 下降トレンドが継続しているのかどうか
- トレンドの勢いが弱まって、転換点が近づいていないかどうか
など、相場の流れをとらえるのに役立つツールです。
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- 一目均衡表
- 平均足 etc
オシレーター系インジケーター
『オシレーター系インジケーター』は、
買われすぎや売られすぎといった相場の過熱感を判断するために使われます。
一定の範囲の中で上下する数値で売り・買いを判断するため、レンジ相場で強みを発揮します。
- MACD
- RSI
- ストキャスティクス etc
よく使われる代表的な7つのインジケーター
インジケーターは非常に多く存在しますが、ここでは人気のインジケーター7つをご紹介します。
どのインジケーターの組み合わせを使うかは、その人の性格や好みによっても合う合わないがあるので、検証を重ねて自分に合ったものを探してください。
- 移動平均線
- ゴールデンクロス・デッドクロス
- ボリンジャーバンド
- 一目均衡表
- 平均足
- MACD
- RSI
移動平均線
『移動平均線』は一定期間の価格の平均値をあらわした最もシンプルでポピュラーなテクニカル指標のひとつです。
一般的には、5、10、13、21、25、50、75、90、200などの期間がよく用いられ、トレンドを探るのに役立ちます。
ローソク足チャートと移動平均線の関係が、
① 移動平均線が上向きで、かつローソク足チャートが移動平均線より上で推移していれば上昇トレンド
② 移動平均線が下向きで、かつローソク足チャートが移動平均線より下で推移していれば下降トレンド
③ 移動平均線が横ばいで、ローソク足チャートも移動平均線の上下を行ったり来たりしている時はレンジ相場
という見方をします。
また、上昇トレンド・下降トレンドにおいては、移動平均線がサポートラインやレジスタンスラインとしての役割も果たします。
移動平均線の種類
移動平均線は、平均化させる計算式の違いによっていくつかの種類があります。
一定期間の終値の合計をその期間で割った単純移動平均線(SMA)や直近の数値をより重視した加重移動平均線(WMA)、指数平滑移動平均線(EMA)などがあります。
SMA=単純移動平均線
WMA=加重移動平均線
EMA=指数平滑移動平均線
グランビルの法則
『グランビルの法則』とは、価格と移動平均線との位置関係に着目した分析方法です。様々な買い・売りのポイントがあります。
グランビルの法則 = 移動平均線から買・売ポイントを見つける手法
「買い」と「売り」それぞれのポイントをまとめましたので参考にしてください。
- 移動平均線が横ばい~上向き始め、終値が移動平均線を上抜いた時
- 移動平均線が上昇時、終値が移動平均線を下回り、再度上抜く時
- 終値が上昇している移動平均線より上、移動平均線に近くまで下落したが、タッチせず再び上昇に転じた時=押し目買いのポイント
- 終値が下降し始めた移動平均線を大きく下に乖離した時=リバンド狙いのポイント
- 移動平均線が横ばい~下向き始め、終値が移動平均線を下抜いた時
- 移動平均線が下降時、終値が移動平均線を上回り、再度下抜く時
- 終値が下降している移動平均線より下、移動平均線に近くまで上昇したが、タッチせず再び下降に転じた時=戻り売りのポイント
- 終値が上昇し始めた移動平均線を大きく上に乖離した時=リバウンド狙いのポイント
ゴールデンクロスとデッドクロス
短期の移動平均線と中長期の移動平均線の位置関係からトレンド転換を判断することもできます。
短期線が中期線を下から上に上抜けた時を『ゴールデンクロス』といい、買いサインとなります。逆に、短期線が中期線を上から下に下抜けた時を『デッドクロス』といい、売りサインとなります。
ゴールデンクロス = 短期戦が中期戦を、下→上に抜けた時
デッドクロス = 短期戦が中期戦を、上→下に抜けた時
ただし、この時の中期線の向きにも注意しなければいけません。
なぜなら、中期線が上向く前のゴールデンクロスや、中期線が下向く前のデッドクロスはダマシが多く、トレンド転換にはつながらないことも多いからです。
3本の移動平均線
短期・中期・長期の3つの移動平均線の傾きや位置関係から、相場の状態やトレンドが発生しているかどうかを判断することができます。
つまり、3本の移動平均線が短期>中期>長期の順に並んでいる時は本格的な上昇トレンドが発生し、逆に長期>中期>短期の順に並んでいる時は本格的な下降トレンドが発生している状況です。これらは『パーフェクトオーダー』と呼ばれ、トレンドフォローの戦略を立てる上で重要な要素となります。
ボリンジャーバンド
『ボリンジャーバンド』とは、移動平均線の上下に±1~3σ(標準偏差)のバンドを描いたチャートです。現在の価格の移動平均線からの乖離がバンド帯±1σ内に収まる確率が約68.3%、±2σ内に収まる確率が約95.4%、±3σ内に収まる確率が約99.7%という特性を活かした分析法です。
つまり、バンドに達した後はいずれ移動平均線へ価格は収束する可能性が高いと考えられます。
ボリンジャーバンド=移動平均線にボラティリティの概念を組み入れた指標
バンドは±1σには頻繁に達し、±3σにはなかなか到達しにくいことから、一般的には±2σがよく使われます。
また、バンドの幅はトレンドの勢いが増すと広がり、勢いが弱くなると狭くなる傾向があります。なお、バンドが収束に向かう(幅が小さくなる)時は、急に上昇したり下降したりして、次に強いトレンドが発生する可能性が高くなるので注意が必要です。
なお、ボリンジャーバンドの代表的な見方には、次の4つが挙げられます。
スクイーズ | バンドの幅が狭くトレンドが出ていない状態。つまり、レンジ相場と判断できる |
エクスパンション | バンドの幅が広がっている状態。つまり、トレンドが発生している状態と判断できる |
バンドウォーク | バンドに沿う形でローソク足が上昇または下降している状態。トレンドの勢いが強い時に現れやすい |
ボージ | バンドの幅がこれ以上大きくならない最大の状態。トレンドが終了し、相場反転の可能性が高い |
一目均衡表
『一目均衡表』は日本生まれのテクニカル指標で、基準線・転換線・先行スパン1・先行スパン2・遅行スパンの5本の線から構成されます。
「価格」の動きよりも「時間」の概念を重視し、相場は売り方と買い方の均衡が崩れた方向に動くとの考え方に基づいています。
それぞれの線の求め方を、日足を例に計算すると次のようになります。
基準線=(過去26日間の最高値+最安値)÷2 |
転換線=(過去9日間の最高値+最安値)÷2 |
先行スパン1=(転換値+基準値)÷2を26日先行させて表示 |
先行スパン2=(過去52日間の最高値+最安値)÷2を26日先行させて表示 |
遅行スパン=終値を26日遅行させて表示 |
転換線と基準線の関係
転換線が基準線を下から上へクロスする時が買いサイン、転換線が基準線を上から下へクロスする時が売りサインとなります。
先行スパン1と2で形成される「雲」
先行スパン1と2で形成される部分は「雲」と呼ばれ、サポートやレジスタンスなります。特に、雲が厚くなっている部分は強いサポートとなり、逆に、薄い部分はそこを抜けると一気に相場が反転する可能性もあります。また、雲の中でもみ合っていた相場が、雲の中から外へ抜ける場合はトレンドが加速しやすくなるので要注意です。
遅行スパンとローソク足
FXで順張りをする際に注目されるのが、遅行スパンが26日前のローソク足とクロスした場合です。なぜなら、遅行スパンと26日前のローソク足が下方向へのクロスや上方向へのクロスをした場合、強いトレンドが形成されることが多いからです。
これら以外にも、波動を使って上値や下値を探る方法や、基本数値と対等数値を使って変化日を予測する方法など、多くの情報が読み取れますが、使いこなすにはトレーニングが必要です。
平均足
『平均足』はローソク足と形が似ていますが、トレンドが発生している時は同じ色の足が連続で出現しやすいように設計されています。
また、レンジ相場では平均足の上下にヒゲができ、トレンドが出てくるとローソクの実体部分が大きくなります。そのため、視覚的にトレンドの発生、継続、終了がわかりやすいので、意外と愛用者が多いテクニカル分析です。
MACD
『MACD』は2本の指数平滑移動平均線を使った分析手法で、直近の終値ほどより高く評価する方法です。一般的にはシグナルに9、短期EMAに12、中期EMAに26の数値がよく使われます。
マーケットに大きな変化が出た時には移動平均線よりもMACDのほうが感度が高いため、トレンドの初期に強い指標といえます。ただ、もみ合い相場などではダマシが発生することも多く、ほかのオシレーター系指標と一緒に使うのがオススメです。
- MACDが0より下でシグナルを下から上へ突き抜けた時、新規買い
- MACDが0を上回った時、買乗せ
- MACDが0より上でシグナルを上から下へ突き抜けた時、新規売り
- MACDが0を下回った時、売乗せ
RSI
『RSI』は相対力指数と呼ばれ、一定期間の価格の変動幅から、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」をパーセンテージであらわした指標です。
RSI(相対力指数):
一定期間の価格変動幅から、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を%で表す
RSIで一般的に用いられる期間は14日が多く、買われすぎ・売られすぎの水準は、それぞれ80・20%、75・25%、70・30%がよく使われます。RSIが30%以下で反転した時に買い、70%以上で反転した時に売りというように、主に逆張りの売買指標として使います。また、50%付近ではもみ合いとなることが多い傾向にあります。
RSIはレンジ相場では有効ですが、強いトレンドが発生した時には上下どちらかに張り付いたままで機能しないため、ほかの指標と合わせて使うことが重要です。
ストキャスティクス
『ストキャスティクス』は、過去一定期間の高値と安値に対して、現在の価格がどの水準にあるかを数値化したもので、%K(短期線)と%D(中期線)の2本を使って売買のタイミングを計る手法です。買われすぎ・売られすぎの水準は、それぞれ70~85%、30~15%がよく使われます。
ストキャスティクス:
過去一定期間の高値と安値に対し、現在価格の水準を数値化
具体的な使い方としては、①20%以下で%Kが%Dを下から上抜いた時に買い、②80%以上で%Kが%Dを上から下抜いた時に売りとされます。ストキャスティクスもほかのオシレーター系同様レンジ相場には強いが、トレンドが発生している時にはダマシも多いので注意が必要です。
インジケーターを使う時の注意点
売りと買いのタイミングを教えてくれるインジケーターですが、必ずしも絶対ではありません。
売買シグナルがあっても後追いだったり、ダマシが存在したりします。インジケーターはトレンド系とオシレーター系をセットで使い、それぞれの弱点を補うことがオススメです。ただし、あまり多くの指標を参考にすると判断にブレが生じてしまうので、自分の得意なインジケーターを見つけてスキルを高めることが重要です。
インジケーターを活用して勝率を上げよう
ここまでインジケーターについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- インジケーターは、売買ポイントを視覚的にわかりやすく判断するための欠かせないツール
- インジケーターには、トレンド系とオシレーター系の2種類がある
- トレンド系とオシレーター系を併用することで、相互の弱点を補完できる
- インジケーターにはダマシもあるので、過信しすぎないようにする
- 移動平均線やMACDなど、それぞれの特徴を理解し、自分に合ったインジケーターを見つけることが重要
トレンドの発生や勢いなどを予測できる「トレンド系」と、レンジ相場での反転を狙った逆張りを仕掛ける「オシレーター系」を上手に活用すれば、売買のポイントが見つけやすくなります。それぞれのインジケーターの特徴を理解し、自分に合ったトレード手法を見つけて勝率を上げられるようになりましょう。